ハロウィンが終わればクリスマス。 かつて栄華を極めた百貨店業界は今や衰退しつつあるというが、きらびやかな飾り付けのされたディスプレイからは、そんな陰りは感じられない。 じきに並木道のイルミネーションも始まるだろう。 だが、クリスマスよりも前に、聖羅には重要な行事が控えていた。 「誕生日のお祝い、ね。ディナーじゃダメなの?」 相変わらず露出度の高い服装で豊満な胸を強調したヘヴンが、半ば呆れ気味に尋ねる。 彼女の綺麗に色付いた爪を眺めながら、聖羅はううんと唸った。 「それはもうやったから、同じになっちゃうかなあ、って」 「じゃあ自宅で手料理とケーキでも食べさせてあげなさいよ」 「それも去年やっちゃったの」 なるほどねえ、とヘヴンは頬杖をついた。 シャンデリアの光を受けて、細い手首に巻かれたニ連のブレスレットが輝く。 「そんなに悩むことないと思うけど。そういうの気にする男じゃないでしょ、ジャッカルは。どうせその後にクリスマスも控えてるんだし、あまり派手にお祝いってのもねえ」 クリスマスかぁ、と聖羅は頷いた。 言われてみれば、イベント続きになってしまうわけだ。 「ヘヴンさんは今年のクリスマス、来栖さんとどうするんですか?」 「もちろん王道コースよ」 ヘヴンはふふんと笑ってみせた。 「今まで散々待たせた分、あと何年かは奮発させてやるんだから」 「あはは…」 |