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ワイドショーでは、どの局も、今年の夏はラニーニャ現象で猛暑・渇水の危険性があると、さかんに警告していた。
梅雨入りも遅く、短期間で終わるらしい。

「おやおや、もう夏バテですか?」

ソファでぐったりしている聖羅を見て、赤屍が笑う。
手には棒付きアイスを持っていた。
プール帰りの子供が買い食いするようなアレだ。

「アイス?」

「アイスですよ」

赤屍がアイスでちょんちょんと唇をつついて促すので、聖羅は素直に口を開けて、その涼を取り入れた。
甘くて、冷たくて、とても美味しい。
これ以外食べられなくなってしまいそうなくらいだ。
食欲が減退する夏は、まともに食事をとる気力が無いせいで、ついつい、冷たいジュースやアイスを食べ過ぎてお腹を壊してしまう人が多いと聞くが、それも納得である。

「そこ、垂れそうですよ」

「ん」

赤屍が棒の辺りまで流れ落ちかけた液体を指差した。
指を汚してしまう前にと、急いで舌を伸ばして甘い液体を舐め取る。
先端を口に含んでかじりつき、早くも溶け始めてきている部分を、ぺろりと舌で掬う。

「何だかいやらしいですね」

正面から聖羅を見つめていた赤屍が、クスリと笑んだ。

「誘われているのかと思ってしまいますよ」

すっと赤屍の顔が近づいて、アイスで冷えた聖羅の唇に唇を重ねてくる。
そのまま甘さを味わうように舌を蠢かせてアイスの残滓を舐め取ると、隙間から舌を滑り込ませて、同じくアイスの甘さの染み込んだ聖羅の舌先をちろりと舐めた。

「ん…」

くすぐったさから聖羅が舌を引っ込めると、赤屍はすんなり唇を離した。
そうして、艶めいた眼差しを聖羅の顔から手元へと流す。
今のイタズラの間に、溶けたアイスが垂れ落ちて指を汚してしまっていた。

「もっと涼しくして差し上げましょう」

そう言うなり、赤屍はアイスを握っている聖羅の手首を掴んで、その胸元へと移動させた。
止める暇もあったものではない。
ペチャ、と冷たいアイスが胸元に当たり、聖羅は「ひゃっ」と声を上げた。
人肌であたためられたアイスは、あっという間にドロドロと溶け出し、白く胸元を汚して腹部へと滴り落ちていく。
まだひんやりと冷たいそれを指先で掬い、赤屍はその指を聖羅の口に突っ込んだ。
目線で促された聖羅は、赤屍の目を見つめながら、しなやかな指先に舌を絡めて吸い付く。

「ん…ちゅっ、ちゅぅ……」

「クス……」

黒髪をサラリとなびかせて頭を寄せると、赤屍は聖羅の胸元を滴り落ちている白濁に舌を這わせた。
片手の指は聖羅の口中に与えたまま、もう片手にも同じように溶けたアイスを絡ませて、ブラジャーの中へと忍び込ませていく。
目当てのものは、アイスの冷たさのせいか、既にぷくりと膨らんで赤屍を待っていた。

「ただのバニラも悪くありませんが…苺ミルクは、もっと美味しいですよね?」

舐めたり、吸ったり、噛んだり──暑い時のアイスは、本当に美味しい。
たっぷりアイスを味わった後は、二人で仲良く水浴びをした。
同じアイスが冷凍庫にまだ一箱ある事など知らない聖羅は、ベタベタしたアイスを洗い流す赤屍の手の平の感触を楽しみながら、甘くて冷たい口付けに、文字通りとろとろに蕩かされているところだった。



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