ホグワーツに入学して2年の月日が経った頃、私はいつも通り一番に教室に辿り着いた。
今日最後の授業はマクゴナガル先生の変身術だ。
至って簡単な授業だと私は思っているが、先生本人曰く一番難しい授業だと言う。
教科書をぱらぱらとめくってみたけど、動物をゴブレットに変えるって…
これ1年生の教科書なんじゃないの、と疑ってみる。

そんなことを思っていると続々と生徒が教室へと入ってきた。
ハーマイオニーに挨拶をして私は眠りへとついた。

「おい、おいってば」

体を大きく揺す振られる感覚に私は寝ぼけ半分で答えた。

「ん、んー…なに?」
「おまえ、2年生になっても眠りこけるつもりか?」

私の快眠を害した犯人は紛れもない、ドラコ・マルフォイだった。
何故か私の隣にすわって何故か私のことを起こした。
授業中にドラコから起こされたのは初めてだった。

「人の睡眠を邪魔する奴はゴブレットになりな」
「はっ、授業中ずーっと寝てる奴が出来るのか?やってみろよ」
「何ですって!」
「あ、ばか!声がでかい!」

ドラコが気付いたときにはもう遅かった。
マクゴナガルの視線がこちらに痛いほど伝わってくる。

「ミスベルヴィーナ、さっきから何を騒いでいるのですか」
「違います、ドラコが…」
「僕は何もしてないだろ!」
「ミスターマルフォイ、貴方もです。理由が何であろうとも
 授業を妨害する生徒には然るべき罰則を与えます。
 第一、貴方達は仲が悪すぎます。お互いをもっと理解するべきです。スリザリン10点減点」

ぴしゃり、と言い放たれた言葉にドラコはぽかんとしていた。
小声でざまーみろと呟くと肘でど突かれた。
授業終了後、私たちはマクゴナガル先生に呼び出された。

「貴方達にはここの掃除をしてもらいます。夕食までには片付け終わるように」

そう言い残して、とてつもなく散らかった倉庫と私たちを残して先生は去っていった。

「くそ!何で僕がこんなことをしなくちゃいけないんだ!」
「元はと言えばあんたが私を起こすからいけないのよ」
「僕が悪いっていうのか?僕はお前を注意してやったんだ、感謝しろ!」

ぎゃんぎゃん言い合っても片付けが進む訳もなし、魔法で外から鍵がかけられた
ドアは開くはずもなし、私は嫌々重たい本を運び、掃除を始めた。
ドラコは相変わらず本棚にもたれかかって腕を組みながらふんぞり返っていた。

「……ちょっと、少しは手伝ってよ」
「僕は悪くない」
「あっそう、僕が悪くなかったら何をしても許されるのね、はーん!初めて知ったわあ!」
「お前はどうしてそんな憎たらしいことしか言えないんだ少しはかわ…っ!」

ゴン!と鈍い音がしたのとドラコの言葉が途切れたのはほぼ同時だった。
私の言葉にとうとうキレたのか勢いよく立ちあがったドラコの頭に
上から落下した分厚い本が直撃したのである。

「っはは!ざまーみろ!天罰よ天罰!って、うわ!」

ドラコはぐらっと前に倒れかかった。私はそれを咄嗟に支えた。
でもよくよく考えると気絶されるということは私の仕事が増えるということだった。
それに…女子一人で気絶した男子を支えるのは些か無理があった。

「ちょ、ちょっと待って、きゃー!」

私はドラコを支えたまま、大きくしりもちをついた。

「いったー…ちょっとドラコ!痛いんだけど!って…起きるわけないか」

ドラコは私の膝の間に片膝を付く状態になって私にもたれかかっていた。
このまま力を抜くとかなり危ない状態だということに気付いたが、私の体力がもたなかった。
私は床に頭をつけて全身の力を抜いた。ドラコの心臓の音が聞こえるほど密着していた。

「お、重い…」

余り使いたくはなかったが懐の杖を無理やり取り出し、部屋の片付けをした。
一振りすれば散らかった本棚は元の場所へと戻って行った。
最初からこうすればよかったんだけど、ドラコの前で魔法を使うのはちょっと嫌だった。
彼の片膝はじょじょに私の下半身へと擦り合わせてきた。

「ぎゃー!変態!こんの…いつになったら起きるのこいつ…」

ここで私はとてもいい考えが思いついた。
ドラコが目を覚ました顔面蒼白になるような考えを。






「…ん、」

頭にぼんやりとした鈍い痛みが残っている。
ゆっくりと目を覚ますと目の前には信じられない光景が広がっていた。

「や、やだぁ…」

濡れた瞳を僕に向け抵抗するアルディスがいた。
僕は訳が分からなくなった。

「ドラコ…どうしてこんなこと、するの?」

嗚咽をもらしながらアルディスは僕に問いかけた。
どうして?ちょっと待ってくれ、意味が分からない。
もしかしたら僕はとんでもない過ちを…

「ぼ、僕は…」
「…ふふ、焦りすぎでしょ」

彼女は妖しい笑みを浮かべて起き上った。
彼女の説明に僕はだんだんと意味が理解した、と同時に怒りがこみ上げた。

「ドラコ、自分が何したと思ったの?もしかして…きゃー!えっちー!」
「お…お前…僕を侮辱したな…!父上に言いつけてやる!」
「へ〜どうやって言いつけるの?幼馴染に発情したって言うの?」

もはや言葉すら出てこなかった。怒りを通り越してもはや呆れた。
アルディスは笑い転げて床をバンバンと叩いていた。

「…本当は望んでたんじゃないのか?」
「へ?なに?」

彼女は笑いすぎて出た涙を拭いてこちらを見上げた。
涙を拭いた手を掴んで彼女を仰向けの状態にし、さっきと同じような態勢になった。
少なくとも、今回は僕の方が優勢だった。僕はアルディスに顔を近づけた。

「ド、ドラコ?冗談でしょ?」
「……」
「ねえ、ドラコ!やっ、やだ」

「ばーか、するわけないだろ」

このくらいしないと、僕のプライドが落ち着かなかった。
アルディスはわなわなと震えながら顔を真っ赤にしていた。

「明日皆に言ってやろう」
「な、なにを」
「…自分で考えろ」



学年2位も中身はウブだ、ってな。






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