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年が明けて、何かと慌ただしい日々が過ぎていく。旅禍の侵攻(今となっては尸魂界の恩人だが)や破面といった脅威に連続して直面した瀞霊廷は、気持ちを新たに剣術や危機管理演習など新しく組み込まれたカリキュラムに追われていた。
なまえは相変わらず斬魄刀と気持ちが通じ合わないままで、京楽はそんな彼女を愛おしく思っていたし、年末に過ごした二人きりの特別な余韻が長く長く続いていた。

そんなとき、しばらく空席だった三・五・九番隊の隊長席が埋まるという噂がたった。順当にいけばそれぞれの副官が昇格するのだろうがそんな気配はなく、隊員たちは伝令が降りてくるのをそわそわして待っていた。


「なまえさーん、人事が貼り出されたみたいですよ」
「あ、もう?意外と早かったね。誰だろう」
「知ってる人かなあ…わあ、いっぱい人が集まってますね」


後輩と廊下へ出てみると、ざわつく人だかりの中に同期の知った顔が何人かいた。その横顔は、どこか張り詰めている。まるで死人が生き返ったシーンに直面しているかのような緊張感すらあった。


「ねえ、そんな顔してどうしたの。やばい人?どっかの隊長が兼任とかじゃないよね?」
「…なまえ………」
「なに?」
「……見て、あれ」


隊員をかき分けて進む。同僚や先輩といった古株たちの顔もあり、彼らはなまえを見つけると自然と道を開けた。そんな風にされると居心地が悪くてたまらず、どこまで変な人事なのだろうかと貼り紙へ視線をやると、そこには信じられない文字が並んでいた。

次の者を各隊隊長の任に命ずる
  三番隊隊長  鳳橋 楼十郎
 五番隊隊長  平子 真子
 九番隊隊長  六車 拳西




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