※バレンタイン

「ヘイシズちゃんハッピーバレンタイン!」

静雄が振り返った瞬間、臨也は手にしていたチョコレートソースを静雄の顔面に向かって噴射した。

「ぶわっ! っぷ、てめ、えぶっ」
「ハハハ! いい様だねシズちゃん!」

静雄は必死に抵抗するが、臨也はしつこく静雄の顔にチョコレートソースを掛け続ける。

「てめっ、ハァッハァ……食べ物を粗末にするようなことしやがって! ぶっ潰してチョコの材料にしてやる!」
「やだなあシズちゃん、ちゃんと食べるよ?」

言うなり臨也は、静雄の頬をべろりと舐め上げた。

「ぎゃー! 止めろ変態!」
「はぁ……はぁ……シズちゃん、可愛いよ……」
「ヒィッ」

臨也のあまりのおぞましさに、静雄は身を堅くし震えている。
臨也は気にする様子もなく携帯電話で写真を撮ったり、静雄の顔や手を舐め回したりしている。

「ああー、シズちゃんてば最高に甘くて美味しいよ……」
「ヒ、ヒ……」

静雄は目をぎゅっと瞑り、涙を浮かべた。その様を、また臨也は携帯で写真を撮っている。


「…………怖くてなんも言えねえけどよ、2人とも、ここ池袋のど真ん中だからな?」

2人から大分離れたところで、トムがぽつりと呟いた。




 


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