HappyRabbit's SilverBullet
ねえねえ大将、大将の目って赤くて、兎みたいですねえ
そう言った白鳥は今は真っ赤に全身を染め上げられ、その目は腐ったメロンのような色をしていた。
今私の手にある、心臓魔導器。これを使えば白鳥は蘇るかもしれない。未だ成功した試しは無いが。
(兎、か)
いつだって私の目はお前を追っていた。
ちょこまかと動き回るお前は少しも白鳥のように優雅では無かった。
兎のようだと言ったこの目の奥に、静かに情欲の炎が燃えていたことをお前は気付いていただろうか。
(まだお前にこの想いを伝えていない)
心臓魔導器を大きく穴が穿たれたそこへ埋め込む。
術式を組み上げ、起動させた。
白鳥は一度大きく痙攣すると、ばちりと瞬きし、そして大きく目を開いた。
「大、将…………?」
「…………」
ああ、言葉が見つからない。
伝えるべき想いがたくさんあるのに。
白鳥の目を見ると、やはり腐ったメロンの色をしていて、兎の耳からは自分の鼓動が聞こえるだけだった。
《