純真から芽生える黄色いバラ




「……植物を見てると、癒やされるな」


彼は、七代千馗のことが好きなのだという。
花札の番人、鬼札の化身。そんな彼が千馗くんに抱いている好きだという感情は、まさしく恋、と呼ばれるものに見えた。

「君からも、花の匂いがする」
「僕の家は華道をやっているからね。そのせいじゃないかな」

だからって花の匂いが付いているとは思えないけど。その生まれの特異性から、人の持つ情報には敏感なのだろう。



「君は……いつも、綺麗だな」


少し、面食らった。

普通、面と向かってこんなこと、言うものじゃない。
(今までだってそんなこと言ってきたのは彼しか)

「千馗と……話していた。君は、いつも整った容姿をしていると」


やっぱり、千馗くんだった。
僕に向かって、綺麗だねと言ってきた最初の男。

「それで、俺もそう思った。……いつも身なりに気を使うのは、いいことだと思う」
「それは、どうもありがとう」



素直に僕を誉めて、にこりと笑った彼は本当に純粋だ。眩しいほどに。


(だからこそ、美しいものが好きな彼の心を射止めたんだろうね)

ひとつ、黄色いバラが体の内側に芽吹くのを感じた。

絢人は主と零が出来ていると勘違いしてます
てかこれまるで零絢のようだ






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