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「帰ってよろしい。」





ダンブルドアのこの一言で、四人はこの気まずい沈黙に包まれる部屋から出ていくことが出来た。

急ぎ足かつ忍び足で上の階へ上り、真っ暗な教室へと身を滑り込ませる。





「あの声の事、僕、皆に話した方がよかったと思う?」



「いや。」





ロンははっきり否定した。





「誰にも聞こえない声が聞こえるのは、魔法界でも狂気の始まりだって思われてる。」



「でも、ナマエには聞こえてた。」



『…』




「どうして僕とハーマイオニーには聞こえなかったんだろう?」





月明かりだけが照らす薄暗い教室で、四人は互いの顔を見合う。





「君は僕の事を信じてくれてるよね?」



「もちろん、信じてるさ」
なんだか焦った様子だ。



「だけど―――君も、薄気味悪いって思うだろ……」



「確かに薄気味悪いよ。何もかも気味の悪い事だらけだ。
壁に何て書いてあった?……」



『秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気を付けよ。…』



「そうだ。それ、どういう意味なんだろう?」



「ちょっと待って。何だか思い出しそう。誰かがそんな話をしてくれたことがある―――ビルだったかもしれない。
ホグワーツの秘密の部屋のことだ。」





ロンの言葉を待ってから、ハリーは質問を続けた。





「それに、出来損ないのスクイブって一体何?」





意味ありげな笑いをロンは浮かべる。
不思議そうにハリーが見つめた。





「あのね―――本当はおかしい事じゃないないんだけど―――でも、それがフィルチだったもんで……。」





必死に笑いを噛み殺しているようだが、噛み殺しきれていない。

口の端は上がってニコニコしている。




「スクイブっていうのはね、魔法使いの家に生まれたのに魔力を持ってない人の事なんだ。マグルの家に生まれた魔法使いの逆かな。
でも、スクイブって滅多にいないけどね。
もし、フィルチがクイックスペル・コースで魔法の勉強をしようとしてるなら、きっとスクイブだと思うな。
これで色んな謎が解けた。
例えば、どうして彼は生徒達をあんなに憎んでいるか、なんてね。
妬ましいんだ。」





時計の鐘が鳴った。

それを合図に四人は話を終わらせる。

部屋に戻らなければならない。



部屋に帰ると、他のルームメートは既に深い眠りについていた。

なるべく音を立てないように着替えて、名前達も早々にベッドに入る。

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