A MONOLOGUE




不思議なものだ。ひらひら、ひらひらと舞い躍り、そうして嘲笑うかのように、伸ばした我が輩の腕から逃れてしまう。

欲しかったものは力ずくでも手に入れてきた、この我が輩が、だ。真に雌というものは不思議な存在だ。いや、貴様が、か。

我が輩のありがたい愛のムチに不平を垂れ(そうなった場合、もれなくキャメルクラッチだが)、生ゴミを取り上げればこの世の終わりのような顔をし……




しかしながら、どうして我が奴隷は可愛らしい。
全くもって謎だ。喰えぬ謎だ。どうしてくれる、喰えぬと分かっていても喰いたくなってしまうではないか。むう。


そして貴様をどうするべきか、と我が輩は考えるのだ。

思考することは我が輩、得意ではあるからな。感謝するがいい矮小なミドリムシめ。この魔人脳噛ネウロ、微生物風情の為だけにカロリーを消費する労働を行っているのだ。

ありがたい話ではないか。
分かったなら小虫らしく地面に這いつくばって五体投地だ。む、拒むか。残念だ。まあ今は勘弁してやろう。今は。話も進まんことだしな。



さて、貴様をどうするか、ということだが……



はっきりいって、よく分からん。



……なんだ、そのような顔をするな。仕方がなかろう。『答え』となるべきものが全く考えつかんのだ。貴様をどうするべきなのか。貴様をどう扱えば良いのか。


……分からん、のだ。



ヤコ、どうした。不細工な顔をするな。貴様は貴様のまま、貴様の好きな生ゴミでも喰らって笑っていればよいのだ。

それにだ。分からんと言っても、我が輩は諦めるつもりなぞ毛頭無いぞ。我が輩、謎を謎のまま残しておくなどプライドが許さんのだ。我が輩を誰だと思っている。魔界の謎を喰い尽くした男だぞ。


……ふん、やっと笑ったな。手間のかかる奴隷め。主人の命令にはちゃんと従え。


ああ、だがなヤコよ。貴様をどうするべきかはよく分からんが、貴様をどうしたいか位は我が輩、もう整理がついているぞ。

それを達成すれば、貴様に近づける気がするのだ。貴様をどうするべきなのかも。


根拠?
そんなものあるわけがなかろうが。
ただそう『思う』のだ。
さあヤコよ。聞いてはくれまいか、我が輩の願いを。貴様でなければならんのだ。



何、そう難しいことではない。貴様はただ、我が輩の言う通りにしていればいいのだ。だがあまり抵抗はするな。加減を間違えて、貴様の骨でも折ろうものなら事だからな。



こら、逃げるなヤコ。冗談に決まっておるだろう。可愛い可愛い奴隷の身体を傷物などにはせん。安心しろ。

……まあ、ある意味傷物にするのかもしれんが、それとこれとは別だ。何も問題はない。


ぎゃあぎゃあ騒ぐな。いい加減諦めろ。往生際が悪いぞ。暴れるなアオミドロ、葉緑素をもつ生き物は本来元気に動きまわるものではないというのに。はぁ。


一体何をするつもりか、だと?

…ここまでくるとその鈍さに感動さえ覚えるぞ。
普通分かるだろう、普通は。こんなに貴様を求めているというのに、我が輩悲しい。





でははっきり言ってやろう。











「ヤコ、我が輩と共に今宵こそは熱く甘い夜を過ごs」
「一回死んでこい、この変態魔人っっっっっ!!!」


ばちーん……





その後、事務所の隅で膝を抱えて沈んでいる魔人を、優秀な黒髪秘書が目撃したそうな。





+ + +

「アネクドート」尊ちゃんより
6000HITキリリクを書いていただきました!
飾るの遅くなっちゃって本当にごめんなさいm(_ _)m

ネウロ独白でギャグというよくわからないリクエストに関わらず、全力で書いてくれてありがとうございました^^

最初がカッコいいだけに、オチの残念さが本当に引き立ちますね…
ネウロ、お前…(笑)


素敵な小説をありがとうございました!!


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