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チョコとリボンは口以上に物を言う【2023】(アラジン)


二月十四日。バレンタインデーに世間の空気は浮わついている。例年ならわたしも浮かれる大衆の一人だったが今年は違う。身体の穴という穴から魂が漏れ出そうなほど緊張したわたしが通学路を歩いていると、背後からわたしを呼ぶ声がした。振り向くと、久しぶりに姿を見た声の主が爽やかな笑顔を見せる。

「ゴンベエ、おはよ〜!」

「あ、おはようございます。せっかく会えたので、先輩には今のうちに渡しておきますね」

義理チョコや友チョコを大量に入れた伊勢丹の紙袋から取り出した義理チョコを、オレンジの髪を一つにまとめた先輩にノールックで手渡す。「ありがとう」とわたしの義理チョコを受け取った先輩は、リュックのジッパーを下げてチョコをしまった。

隣を歩くテス先輩は一学年上の高三で、国公立大学の前期入試を十日後に控えるなか既に進学先を決めている。制服姿の先輩に登校理由を問うと、打ち合わせがあると返ってきた。詳しく聞くと、例年卒業アルバムの制作委員や卒業式前日のイベントの進行は早く進路を決めた生徒が務めるらしく、先輩もその一人だという。

わたしとテス先輩は部活が一緒で、六月早々に引退した彼とは共通の趣味を理由に今も交流が続いている。一番仲のいい異性の先輩であるテス先輩には、進路から恋愛まで何でも相談していた。

「先輩、わたし…今年はちゃんと作ったんです」

「ついに?どうりでガチガチに緊張してるわけだね」

本命への告白予定を告げれば、部内では爽やかなイケメンとして通っているテス先輩の顔はニタニタと崩れていく。わたしの片想い相手は小学校からの同級生で、今も同じ部活に所属している。しかしそれだけでなく、わたしの想い人とテス先輩は幼馴染なのだ。

「去年は誰からも本命もらってないみたいだし、今年もゴンベエだけじゃないかな?」

「そんなことないですっ!今はキャプテンですし、後輩女子とも仲いいんですよ!それに、単純だから義理チョコをくれた女子を意識しちゃうかも…」

「単純なのは否定しないよ〜。去年は僕のママの義理チョコですら大喜びだったし」

テス先輩は笑い飛ばすものの、想い人と旧知の仲である先輩からも想い人が単純と認定されれば不安は募る。そんなわたしの不安に気づかないテス先輩は、わたしの右手の紙袋に視線を落とした。

「これは誰が見ても本命だね〜」

「本命だからそれでいいんですっ」

他のチョコで潰れないよう一番上に入れたチョコは、伊東屋で一時間悩んで決めた包装紙に包まれている。これだけはラッピング代が桁一つ違う。小学生から友達付き合いはあったものの、あくまで"女友達からの義理チョコ"を装ったチョコを渡していた。しかし、今日は"本命チョコ"を渡して告白するのだ。

"本命だから"という自分の発言で再び覚悟を決め、わたしは大きく深呼吸する。呑気に隣を歩くテス先輩から視線を外して正面を向くと、目的地の高校はもう目の前。しかし、竹刀を片手に校門の前に佇む女性にわたしの顔は青ざめていく。

「うげ…アル婆いるんですけど」

「そういうこと言うのやめときなよ〜。竹刀が降ってきても知らないからね」

わたしや友達が陰で"アル婆"と呼ぶのは生活指導のアルバ先生。普段は物理の授業で教鞭を取り、剣道部の顧問も務めている。インターハイ三連覇の最強剣士として学生時代に名を馳せた先生の指導を受けたい、とうちの高校を志望した剣道部員も少なくないと聞く。

アル婆の持ち物検査は厳しいことで有名で、彼女にチョコを没収されれば間違いなく告白できずに終わってしまう。打開策を求めてテス先輩を一瞥すると、「もうゴンベエからはチョコもらっちゃったしな」と彼は頭を掻いた。

「アルバ先生は僕が引きつけるから、そのうちにゴンベエは昇降口まで行って」

「先輩、ありがとうございます…!」

告白の結果報告を耳打ちで催促したあと、テス先輩は校門で仁王立ちのアルバ先生の元に向かう。生活指導教員は三年生の担任団の一員で、昨年までテス先輩の担任だった。アルバ先生がわたしに背を向けるよう誘導したのち、先輩がわたしに目配せする。手短に会釈してから急いで校門を通過し、わたしは昇降口に駆け込んだ。



放課後、教室の外の廊下でロッカーを解錠したわたしはA組に視線を向けた。階段を挟んでA〜E組、F〜J組と各学年に十クラスあり、わたしはJ組に属している。まだホームルーム中なのか、想い人がいるA組から生徒が出てくる気配はない。

ロッカーの前で数分待機していると、A組の教卓側のドアが開いて教師が出てきた。職員室のある階にA組の担任が降りるのを確認してからロッカーを開けたわたしは、取り出した紙袋を後ろ手に持って再び施錠する。ぞろぞろと廊下に出てくるA組の生徒にはわたしが待っている片想いの相手もいて。

一瞬こちらに顔を向けた想い人と目が合った気はするが、すぐに彼はわたしから視線を外した。好きな人に顔を背けられて軽くショックを受けるものの、ロッカーから大きな紙袋を取り出すなり、片想いの相手は通学鞄と紙袋を手に近づいてくる。もっとも、想い人が目指す先はE組とF組の間にある階段で、わたしではない。

「…アラジン!」

わたしの声に顔を上げた想い人・アラジンは一瞬頬を染めたように見えた。しかし完全にわたしの自惚れだった、と想い人の紙袋を見たわたしは気づかされる。

「それ…全部チョコ?」

アラジンの紙袋には所狭しとチョコらしきものが敷き詰められていた。紙袋の上から見える限りでも大きなチョコを二個はもらっている。女子目線として義理チョコには安くて大量に持ち運びやすいサイズを選ぶわけで、大きな紙袋の表面を埋め尽くすチョコの箱は本命と相場は決まっていた。

「そ、そうだよ。高二になって僕にも…ついにモテ期が来たのさっ」

「え、う、そ…待って、義理チョコじゃなくて?全部じゃないよね?」

「ゴンベエちゃんは何を言っているんだい?…義理チョコもあるけど大半は本命だよ」

ドヤ顔を決めるアラジンもかっこいいなと思いつつ、彼に本命チョコを渡した女子の存在にわたしの胸が痛む。テス先輩も"単純"と評する想い人のことだ、女の子に告白されて浮かれているに違いない。

しかしわたしの気も知らず、「ついに僕にも彼女ができちゃうね〜!そしたらゴンベエちゃんともあまり話せなくなっちゃうかなあ」なんてぽやぽや顔のアラジンが言う。恋のライバルに先手を打たれたショックは急速に薄れていき、能天気な想い人へのイライラが勝っていく。

「はぁ?わたしには関係ないし!勝手にすればいいじゃん!」

アラジンの元に大股で歩み寄ったわたしは、自分の紙袋から本命チョコを手に取って彼の紙袋に投げ入れる。怒りを爆発させたわたしに呆然とするアラジンを放置して踵を返し、E組とF組の間の階段を駆け下りた。



「いくらムカつくからって、食べ物に八つ当たりなんて最低!もうわたしの恋は終わりだよ先生…」

「ナナシノ、一応俺は君の担任だからチョコとかそういう話は…」

「今日に向けてわたしが料理教室に通ったり試作品作ったりしてたの聞いてたのに、先生だって注意しなかったでしょっ」

階段を降りてわたしが向かった先は化学科職員室。テス先輩と並ぶ恋愛相談の相手の"ウーゴ先生"ことウラルトゥーゴ・ノイ・ヌエフ先生の元に押しかけ、自分の失態を担任に泣きついていた。アメリカでも指折りの名門大学出身との噂もあるウーゴ先生は相当な寒がりで、ヒーターのついた職員室でもマフラーを外さない。

わたしの今の行為は八つ当たりへの八つ当たり。自分の学ばなさに舌打ちしたい気持ちを押さえ、先生への謝罪を口にする。

「どの試作品よりも綺麗に作れたのにあんな投げ方すれば壊れちゃうし、そもそも食べ物を粗末にする女のチョコなんて開けてくれないだろうし、もう無理だよね。先生の恋愛経験と照らし合わせてどう思う?」

「…え?そ、それは」

わたしの問いにウーゴ先生の肩が大きく跳ねた。しかし分厚い眼鏡の奥でせわしなく目を泳がせる担任は、"ウラルトゥーゴ"と書かれた湯呑に手を伸ばして口元に宛がって無言を貫く。

「さすがウーゴ先生…!女子高生には話せないような大人な恋愛ばかりしてきたんだ!」

夏のポロシャツ姿でも隠せないほどの筋肉から、生徒の間で"筋肉ダルマ"とも呼ばれるウーゴ先生。さらに長身で、誰の目に見ても恵まれた体格の持ち主だが、先生本人は暇さえあれば研究に明け暮れているという。名門大学を出てたインテリマッチョで性格も真面目なら、世の女性が放っておかないに決まっている。

「…部活をサボってまで俺の話を聞きに来たんじゃないでしょう?今後ナナシノがどうするのであれ、アラジンとこのままってわけにいかないのは君もわかってるよね」

先ほどまで生徒の問いにしどろもどろだったと思えないほど真剣な眼差しを向けるウーゴ先生に、わたしは素直に頷く。とはいえ、わたしの行為が原因でアラジンから距離を取られれば、謝罪の機会すら与えてもらえないだろう。抱える懸念を生徒が素直に吐露するものの、筒状のヒーターに両手をかざす担任は至って能天気。

「大丈夫だよ。俺はアラジンを生まれたときから知ってるけど、ナナシノなら大丈夫。俺が保証するから安心して行っておいで」

「でも…」

部活をサボった身分で部活に出ている想い人をのこのこ探しに行くわけにもいかないし、そもそも彼も部活をサボって帰宅したかもしれない。アラジンを探しに行かなくていい言い訳を見つけて呟けば、「アラジンがいなければここに帰って来ればいい」と先生。

「愚痴ならいくらでも聞くよ」

「先生ありがとう…!わたし、行ってくるねっ」

生徒の悩みを聞くのも教師の仕事に入るかもしれないが、より優先順位の高い業務は山積しているはずで。ダメだったときに自分を受け入れてくれる人の存在は、たとえ教師としての仕事の一環とわかっていても心強い。もらった友チョコでいっぱいの紙袋を手に取ったわたしは先生に一礼してすぐ化学科職員室を飛び出した。



部室や普段の活動場所を覗いてもアラジンの姿はない。二年A組の教卓側の入口から顔を出して教室を一瞥し、想い人の不在を確認したわたしが顔を引っ込めようとしたとき、「あの」と声がかかる。声の出処を探して視線を教室のあちこちに向けるわたしに「俺です」と声をかけたのは、人のよさそうな顔をした男子。

教室移動のときに片想いの相手と一緒にいることの多い、黄色い髪の男の子には見覚えがある。先月わたしが窓際の席だったときに見た、集団の最後尾で持久走を終えてヘロヘロの想い人をゴール地点で抱きとめた同級生も彼のはず。アラジンが呼んでいた名前は、確か"アリババくん"。

「ゴンベエさん…ですよね」

"アリババくん"の問いに頷くと、彼の席の隣に座るドレッドヘアの男子が小刻みに身体を揺らす。近くのコンビニのテープが貼られた紙パックのレモンティーを持つ手は震えていて、どう見ても笑いをこらえていた。笑われる原因がわからず眉根を寄せると、なぜか"アリババくん"が「あ、悪い!」とわたしに謝る。

「いつも"ゴンベエちゃん"ってアラジンが呼んでるから、下の名前しか知らなくて」

「ちぇ、アリババがナンパするのかと期待して損した」

「カシム…!」

"アリババくん"が諫めた男子とは初対面だが、悪い意味で記憶に刻まれていた名を思い出したわたしは顔をしかめた。夏休み明け早々に校舎内での喫煙が発覚し、停学処分になった生徒の名だ。四十人学級が十クラスあれば、クラスや委員会、部活で一緒にならない同級生など、たとえ問題児だろうと顔と名前は一致しないのだ。

「気にしなくて大丈夫ですから」

「よかった〜…じゃなくて、アラジンでしょ?ホームルーム終わった後も俺ずっと教室にいるけど、あいつ一度も戻ってきてないですよ」

期待してた情報を得られず、わたしは思わず肩を落とす。これ以上A組にいても仕方ないと判断して"アリババくん"に礼を告げようとしたところで、「待て」とわたしを呼び止めたのは"カシム"くん。

「あいつなら妙にご機嫌な様子で下校してたけど、告白でもしたのか?」

「こんな風に」と付け加えて軽やかなスキップと鼻歌を披露した"カシム"くんは、着席するなりすぐ紙パックのストローに口をつける。二月十四日にスキップと鼻歌なんて"本命チョコで女の子に告白された"と宣言するようなもの。しかも口ずさんでいたのは、"幼馴染への長年の片想いの成就"を歌ってSNSでバズっている曲だ。

よりによってアラジンに告白したのが同じ"幼馴染"だなんて、名前も顔も知らない女の子と想い人の仲睦まじい姿を想像するだけでも胸が苦しい。第三者から知らされた失恋に頭が真っ白になったわたしは、呆然としたままA組をあとにした。



家の最寄駅の改札を抜けた瞬間、電車では堪えた涙が止まらなくなる。小学校からの幼馴染だった想い人とは最寄駅も一緒。小中学校時代はもちろん、高校入試の合格発表帰りや入学式の朝など、この駅周辺で数えきれないほど顔を合わせていた。相手には何て事のない日常の一コマでも、わたしにとっては大切な思い出だ。

<僕はこれからテスくん…幼馴染と遊びに行くのさ!ゴンベエちゃんはどこに行くんだい?>

<ゴンベエちゃんも受かったんだね!少し遠い高校だけどゴンベエちゃんが一緒なら四月からも心強いよ>

俯きながら泣きじゃくる女子高生は帰路をすれ違う人々にも不審に映るようで、アニメや漫画でしか見たことのないような「ママ、あのお姉さん泣いてるよ」なんて子供の声も聞こえてくる。さすがに「見ちゃいけません」なんて母親の声までは聞こえないものの、道行く人の視線を悪い意味で集めているのは間違いない。

わたしの家は最寄駅から四分ほどのところにある。どんなに足取りが重くても十分あれば自宅に着いてしまう。薬局がある角で駅前通りを右折して五件目の自宅に入るべく足を止めようとすると、わたしの思考は急停止した。俯いたままの視界に誰かの靴が、紺色のスニーカーが見えたから。

「やっと帰って来たね」

「アラジン…どうしてここに?」

顔を上げるより先に声をかけられて大慌てで頭を上げると、がっつりアラジンと視線が絡む。およそ一時間半ぶりの想い人の顔に怒りや呆れは滲んでおらず、むしろ幸せを色濃く漂わせていた。

「ゴンベエちゃんに本命チョコのお礼と返事をしたくて」

「本命だなんて、わたし一言も言ってな」

「いやいや、例年と比べてもチョコの気合いが違うじゃないか…それにラッピングだって。こんな包装紙は市内の文具店じゃ買えないし、こんなに綺麗なリボンも義理チョコには使わないでしょ?それとも、これと同じラッピングのチョコをみんなに渡したのかい?」

百均とは一線を画すラッピングだけでなく、安くない料金を払って通った料理教室で作り方を習得したチョコも既に見られたことを悟る。観念したわたしが首を振りながらアラジンだけと告げれば、「よかった」と彼は顔を綻ばせた。

「…それで返事だけど、僕もゴンベエちゃんが好きだよ」

驚きのあまり「え」とだけ声を発すると、「嬉しくないのかい?」と想い人は頬を膨らませる。元々大人びた思考の持ち主であるアラジンは、高校二年生になって背も伸びてきた。そんな幼馴染の子供のような仕草に、わたしより背の低かった小学生時代の彼を思い出さずにいられない。

「嬉しいけど…他の本命チョコの女の子は?」

「ああ、あれかい?…ゴンベエちゃんを焦らせたかった僕の、男としてのちっぽけで浅はかな見栄だったのさ」

その策略に乗せられてわたしはチョコを投げたわけで、浅はかとも言いがたいと思いつつも新たな疑問が生じる。アラジンが右手に提げる紙袋の中身は本命でなければ義理チョコなのか。しかし答えは"ノー"で、ほとんどが空箱だったとばつの悪そうな顔でアラジンは言う。

「え、じゃあ今日アラジンにチョコを渡したのはわたしだけ?それなら二つあった大きなチョコは何?」

「いや、違うよ!お母さんもくれたし、ファーランさん…テスくんのお母さんもくれた!大きいチョコはそれだよ!ゴンベエちゃんを入れて三つだから!哀れみの視線を僕に向けるのはやめておくれよ!」

放課後すぐのわたしを動揺させたチョコの贈り主が幼馴染の母と実母と発覚し、わたしは胸を撫で下ろした。

「よかった…アラジン単純だから、本命チョコを先に渡した女の子と付き合っちゃったかと思って」

「そうだよ、僕は単純さ」

アラジンの言いたいことがわからず、わたしは首を傾げる。

「小学生のときから毎年欠かさずチョコをくれるゴンベエちゃんを僕が意識するのは当たり前でしょ?」

照れ隠しで"義理チョコ"と言って渡し続けたのに、アラジンはわたしを意識してくれていた。その事実に、嫌われたと数分前まで思い詰めていたわたしの気も頬も緩む。すると紙袋を地面に置いたアラジンが一歩前に出てわたしの背に左腕を回し、俯くわたしの顎を右手で掬って顔を上向けた。

「ま…ま、ま、待って!」

声を張ったわたしが制するとアラジンは小首を傾げる。

「その…さっきはごめんなさい」

高校の廊下でのことを謝罪すると、少し時間を置いてから「…ああ」とアラジン。

「そんなことは気にしてないから、早く目を瞑って」

両想いの相手と至近距離で見つめ合っていれば、続く行為は嫌でも想像できる。ファーストキスなのに自宅前の道路でいいのか。人通りの少ない道とはいえ公共の場で不安になりつつも、一瞬で終わるから大丈夫と自分に言い聞かせてわたしは目を瞑る。少しして、自分の前髪にアラジンの前髪がかかるのを感じたとき。

「ねえ、ちょっと!あれアラジンじゃない?」

「…バカ、声を抑えろ」

どこかから聞こえた女性の大声に目を開けると、すでに想い人の身体は離れていた。顔を真っ赤にしたアラジンの視線の先には、頭頂の左右両側から小さな角が生えたようなピンクのロングヘアが可愛らしい女性と、青い長髪を一本の三つ編みにした想い人そっくりの男性。

「もしかして…あなたがゴンベエちゃん?初めまして、アラジンの母のシバですっ」

「お母様ですかっ…初めまして、ゴンベエ・ナナシノです。アラジンくんとは小学校から一緒で、今も同じ高」

「僕の可愛い彼女さ」

わたしの肩を抱く想い人の交際宣言と取れる一言に、わたしの顔は真っ赤に染まっていく。アラジンのお母様改めシバさんとお父様のソロモンさんに挨拶し、シバさんとお茶に行く約束をしてからわたしは自宅の玄関の扉を開けた。



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