バカだといっても | ナノ



03




何があったんだ?


俺は、お前のためにどうすれば、いい?




03




「……私が…死んだ。………そっかやっぱり死ぬんだ」

「比奈?」

「そうだよね。いらない子は消えた方がいい……ううん。最初からいなかったことにした方が……

「しっかりするんだ!!君はまだ生きてる」




精市の声にゆっくりと顔をあげ、比奈は、焦点のあわない瞳を、精市に向ける。




「生き……てる?」

「そうだよ」

「私まだ……」




次第に焦点のあった瞳が戻ってくる。

しかし、俺はホッとしたと同時に情けないと感じた。

俺はまた比奈から逃げようとしたのだと、自分で分かってしまったから……。




「お兄ちゃん?」

「あっあぁ」

「私どうすればいいかな?」

「とりあえず俺と一緒に……っていいか?精市?」

「いまさら行けないっては言えないし……比奈をここに置いていく訳にはいかないだろ?」

「?」

「そうだな。ありがとよ」

「礼を言うのはまだ早いよ?」




そうこれからが


この子にとって一番


辛いことになるかもしれないのだから。




(それでも、俺は君が傷つくのは見たくないと思った。最初に傷つけてしまったのが、俺だからこそ)



.

[ 4/5 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -