凍った心 | ナノ



03



今までは上手くいった


でも


これからは?









「なぁお前さん。顔が死んでるぜよ」

「いきなり失礼だよ。仁王雅治くん」

「フルネームはやめんしゃい。誰かと同じように呼びなさんな」

「そう思うなら前言撤回してよ」

「それは無理じゃろ?事実なんじゃから。鏡見てみたらどうじゃ」

「……今さら見てもねぇ」

「ほぉか。……何かあったんか?雅」

「……久々に最悪な寝起きだったのですよ」

「じゃから朝からその顔か」




今は朝。
仁王くんは、私の隣の席の住人で、何かと気を使ってくれるテニス部員の一人。
そんな彼が朝一番に私の顔の酷さを伝えた。


せめてオブラートに包んでくれると嬉しいよ。




「そんな面倒なことはせん」

「あれ?口に出してた?」

「プリッ」




喰えない男。
それにしても、あの夢はおかしい。

私が覚えてる事件と些か食い違いがある。


あんな忘れてたくても、忘れられない過去。

夢でも今までは、違わなかったのに……


何故?



「雅。何かあったらちゃんと言うんじゃよ?」

「……へっ?」

「俺達はお前さんらの味方じゃ」

「……ありがと」




私はこのとき自分の頭を整理することでいっぱいだった。

だから、仁王くんが『お前さんら』と複数系で言ったことに気づかなかった。




「よしっ。じゃ英気を養うためにもうしばらく寝るねー」

「おー。その寝不足治した方がいいぜよ」

「ふぁーい。おやすみ」

「おやすみ」




(どうか夢の中だけでも、真実を教えてやって欲しい。参謀も雅も不幸にならんホントの真実を…)


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