凍った心 | ナノ



01


あなたが離れていったのは


何故?




冷めた目線




私には幼馴染みがいる。

名前は柳蓮二くん。

2年でテニス部レギュラー。

といってもそのことを知るのは、私の親友とテニス部レギュラー陣だけだ。
何故なら、中学生になってから柳蓮二くんとは一切関わりがない。

変わりに幸村くんや真田くんとは話しをするようになった……。

柳蓮二くんと関わりがなくなった理由なんて知らない。だっていきなり『俺に関わるな』って中学の入学式で言われたから……。

小心者の私には頭を縦に振るしか道は残されてなかった。




「雅?」




ふと名前を呼ばれ驚きながら顔をあげると綺麗な顔をした美青年

……じゃなくて幸村くんが立っていた。



「へっ?」

「何かあった?ぼーっとしてたけど」

「えっ?私そんなにぼーっとしてた?」

「うん。俺が見てた10分くらいは」

「えっと幸村くん?10分も眺めてないで声を…「かけたよ?5回は」

「ごめんなさい」

「うん。でっ?どうしたの?」

「うーん。どうしたって訳じゃないんだけど、ただ久々に昔のこと思い出してただけ」

「昔のこと?」

「うん。幼馴染みのこと……」




私は昔のように柳蓮二くんを呼ぶことが出来ない。

また入学式のように言われたらと考えると…怖いから、必要なときだけにしている。




「どんなことか聞いてもいいかい?」

「んー……あんまりいい思い出じゃないよ?」

「いいよ。話した方が楽になれるだろ?」

「…そだね。私さ昔はテニス好きで毎日スクールに通ってた。その日も幼馴染み2人とスクールに行ったんだ。でっ確かあの時2人とも用事があって一緒に帰らなかったんだよね。それで1人で帰った。やっぱ小さいときってトンネルとかが怖かったんだよね。それでも家に帰るためにトンネル通ったんだ。

……私後ろから殴られたんだよね。

多分ラケットで……」

「うん。それで?」

「気絶しちゃった。トンネルを通った人に病院に連れて行って貰って無事だったよ?

……だけどラケットが怖くなった」

「ラケットが?……犯人は?」

「見つかるわけない。滅多に人通らないから……。ラケットが怖いって可笑しいよね?」

「そんな体験したなら仕方ないと思う。それでテニスは?」

「出来るわけないよ。ラケット見たら身体が震えるんだもん。

……それでも幼馴染みは一緒にいてくれた。

でもねテニスが出来る2人が羨ましくて自分の身体が妬ましかった。それからすぐに親の都合で引っ越した。2年後に彼が引っ越して来たけどね」

「それで?」

「優しかったよ?
中学に上がるまでは……多分たかが一度ラケットで殴られただけなのに、テニスをしなくなった私に愛想つかしたんだよ」

「……」

「幸村くんがそんな顔しないでよ!あとは幸村くんが知ってるとおりだよ?」

「ねぇ雅」

「何?」

「いつか……いつか分かるよ」

「何が?」

「何でもないよ。それより雅?もう昼休み終わるけど…ご飯食べなくてもいいのかい?」

「……幸村くんそれ早く教えて!!」




幸村くんに話しを聞いてもらえてとっても楽になった。

でも幸村くんが私をずっと呼んでた理由を先に言って欲しかった。



(おかげで私はお弁当を5分で食べました。そして授業中腹痛に魘されて、昔のことを考える余裕はありませんでした)


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