▼ 1 いつも突然で 私の気持ちなんて 無くした1ピース 「わりぃ!!ホントに……」 『そんな謝らなくていいよ。大丈夫。気にしてないって!仕方ないよ。用事が出来ちゃったんだから』 「でもよ」 『じゃあまた今度美味しいケーキ驕ってよ?』 「おぅ!!」 『決まり!楽しみにしとくね。ブンちゃんも手伝い頑張ってね』 「紗智も休み楽しめよー」 『うん!じゃあまたね』 プッと切れた機械音に、寂しいと感じる。仕方ないってことぐらい、分かってる。親の用事なんだから……。中学生という中途半端な年齢の私達は親に逆らうことは出来ない。 『でも、寂しいのは変わらないよ。ブンちゃん』 そんな悲しみにくれているときに、私の携帯に救いのメールが届く。 『赤也だ』 近所に住む切原赤也は、私とブンちゃんの愛のキューピッド。だから赤也には感謝してる。 『今から行く。…ってこっちの都合なんてお構いなしじゃん』 程なくして、玄関が開いた音と階段を昇る足音が聞こえる。 「よっ!」 ガチャという音とともにいつもの笑顔が飛び込んでくる。 『珍しいね!赤也がメールしてから来るなんて』 「あぁ?紗智がこの前言ったんじゃねぇかよ!」 『あれ?そうだっけ?』 あぁそういえば、乙女の家を訪ねるマナーを考えなさい!って言ったっけ? 「それで!明日丸井先輩とデートだよな?」 『ううん』 「はっ?」 『だから違うって!』 「何で?久しぶりの部活の休みじゃねぇ?」 『うん。なんか家の用事で無理になっちゃった』 「……そっか」 『赤也はどうしたの?』 「遊園地の無料券を貰ってよ!二人にプレゼントしようって思ったんだけどな」 『へぇ……赤也が行ってくればいいのに』 「男誘っていくなんて真っ平ゴメンだぜ」 『そうなんだ!……じゃ私と行かない?』 「はぁ?」 『えっ?だって暇だし…赤也も暇なら一緒に行けばいいじゃん!』 「まぁいっか」 『明日行こう!10時に赤也の家と私の家の真ん中あたりに集合』 「いいぜ」 『そうと決まれば、服でも選ぼうかな!』 このときだけは、私の判断は間違っていたと断言できる。服を選ぶからと言って赤也を外に放り出し、時間をかけて選んだ。暇な時間が寂しさを襲うから…。 <赤也Side> 俺のために服を選ぶといわれたときは、正直嬉しかった。好きだから。本当は渡したくなかったんだ。だから賭けたんだ。 紗智が好きだ。 丸井先輩は、自信満々で賭けにのった。俺は卑怯って言われても構わねぇ。だから絶対に取り戻す! . |