お題 | ナノ




いつも突然で


私の気持ちなんて




無くした1ピース



「わりぃ!!ホントに……」

『そんな謝らなくていいよ。大丈夫。気にしてないって!仕方ないよ。用事が出来ちゃったんだから』

「でもよ」

『じゃあまた今度美味しいケーキ驕ってよ?』

「おぅ!!」

『決まり!楽しみにしとくね。ブンちゃんも手伝い頑張ってね』

「紗智も休み楽しめよー」

『うん!じゃあまたね』




プッと切れた機械音に、寂しいと感じる。仕方ないってことぐらい、分かってる。親の用事なんだから……。中学生という中途半端な年齢の私達は親に逆らうことは出来ない。




『でも、寂しいのは変わらないよ。ブンちゃん』




そんな悲しみにくれているときに、私の携帯に救いのメールが届く。




『赤也だ』




近所に住む切原赤也は、私とブンちゃんの愛のキューピッド。だから赤也には感謝してる。




『今から行く。…ってこっちの都合なんてお構いなしじゃん』




程なくして、玄関が開いた音と階段を昇る足音が聞こえる。




「よっ!」




ガチャという音とともにいつもの笑顔が飛び込んでくる。




『珍しいね!赤也がメールしてから来るなんて』

「あぁ?紗智がこの前言ったんじゃねぇかよ!」

『あれ?そうだっけ?』




あぁそういえば、乙女の家を訪ねるマナーを考えなさい!って言ったっけ?




「それで!明日丸井先輩とデートだよな?」

『ううん』

「はっ?」

『だから違うって!』

「何で?久しぶりの部活の休みじゃねぇ?」

『うん。なんか家の用事で無理になっちゃった』

「……そっか」

『赤也はどうしたの?』

「遊園地の無料券を貰ってよ!二人にプレゼントしようって思ったんだけどな」

『へぇ……赤也が行ってくればいいのに』

「男誘っていくなんて真っ平ゴメンだぜ」

『そうなんだ!……じゃ私と行かない?』

「はぁ?」

『えっ?だって暇だし…赤也も暇なら一緒に行けばいいじゃん!』

「まぁいっか」

『明日行こう!10時に赤也の家と私の家の真ん中あたりに集合』

「いいぜ」

『そうと決まれば、服でも選ぼうかな!』




このときだけは、私の判断は間違っていたと断言できる。服を選ぶからと言って赤也を外に放り出し、時間をかけて選んだ。暇な時間が寂しさを襲うから…。




<赤也Side>




俺のために服を選ぶといわれたときは、正直嬉しかった。好きだから。本当は渡したくなかったんだ。だから賭けたんだ。



紗智が好きだ。



丸井先輩は、自信満々で賭けにのった。俺は卑怯って言われても構わねぇ。だから絶対に取り戻す!





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