お題 | ナノ
貴方のために出来ること


私がディーノを
好きな気持ちは
変わらない

だから……

これが最善の方法




貴方のために出来ること




『逃げなきゃ』




遭遇した場面が悪かった。朝早く目が覚めてしまい、このまま寝ても……という気分から外に出た。




『休みの日だからまだみんな寝てるんだろうなぁ』




自然に笑みが零れた。

しかし次の瞬間。

静寂な朝の風景とは一変した悲鳴が聞こえた。




「オイ!並中だろ?お前!さっさと連れて来いよ」

「知りませんよっ。俺は」




ドスッと蹴られる音がする。痛そうと思いながらも、聞いたことのある声に思わず覗いてしまった。




『ツナ!』




思っていた以上に大きな声に、不良達はいっせいにこっちを向いた。




「なっ!どうして紗智が……」

「知り合いか?可愛い顔してんじゃねぇか!」




どうしよう……。ツナをなんとか逃がして逃げなきゃ。
決心と同時に不良の前に歩みよる。




『その子を離してあげて』

「あぁ?こいつが1番いいカモなんだよ!」

『どういう意味?』

「獄寺隼人に用があるからな!俺達は」

『復讐?』

「そんなもんだ!だからコイツは渡せねぇ」

「紗智!逃げなよ。俺は大丈夫だから」




あぁツナも成長したんだね。それでも私が取る道は一つしかない。




『隼人なら私も知り合いよ。ツナじゃなくても私で十分』

「紗智!!」

「ほぉ!まぁ男よりも女といた方が楽しめるしな。ほらよ」




ドサッという音がして、ツナが解放されたのを確認すると、ツナに近寄り小声で話す。




『逃げて!私は大丈夫だからね』

「でもディーノさんに……」

『ダメ!誰にも言わないで?ちゃんと逃げれるから!』




ニコッと笑うとツナの背を押し走りださせる。




『ありがとう』




ホッとしたように微笑むと、不良の一人が近づいてくる。
ツナも逃がしたし大丈夫!隙を見て逃げなきゃ。




不良の様子を見ながら一歩ずつ近づく。




「今さら怖がってんのか?」

『どうだかね!』




クスッと笑うと砂を蹴りあげる。




「いてぇ!この野郎!」




手探りで探す不良をよそに足音を立てないように、その場を後にした。まぁそんなに強くなさそうだし、隼人なら勝てると思ったけど。走りながら、考えるが曲がり角を曲がったあたりで走るのを止め、ゆっくり歩きだす。
まったくツナも捕まりやすいんだから……。そういえば、どうしてこんなに早くにツナが家をでたんだろう?
そんな考えが脳裏にうつり、不安にさせる。もしかして……思ったときには走りだしていた。




家の近くまでくると、予想通りの不良達にため息がこぼれる。でも、このままなら小さいランボ達を巻き込んでしまうかもしれない。それに隼人だってツナの家にくる……。運が悪ければディーノまで…。
もし部下が近くにいなかったら?




そう考えた瞬間顔が青くなっていくのを感じた。




『やっぱり私が囮になるしかない……体力には自信があるし。大丈夫』




ディーノから貰ったネックレスをギュッと手に握る。




決心と同時にバッと不良達の前に出る。




「さっきの女!よくもやってくれたな」

『さぁね!』




声と同時に走り出すと、当然不良達は着いてきた。




『よしっ』




不良達がいることを確認すると家から少しでも離れないとという思いでひたすら走った。




これがみんなのために


大好きな貴方のために


今の私が出来ること…



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