▼ 1 一日って長いようで 短い 貴方と一緒だから。 幸せな一日 赤也から受け取ったものを開くと、特別無料招待券が入っていた。 「赤也の奴!最初から狙ってやがったな」 ブンちゃんの言葉に首を傾げながら、紙を覗きこむが、ふと顔をあげ近くの建物を指差す。 「どうしたんだよぃ?」 『あのビルがこの紙に書いてるホテルみたい』 豪華そうなビルに何度も見比べるが、間違いはなく、ケーキバイキングをしているホテルのようだった。 『ブンちゃん……行かない?』 せっかく貰ったし…とブンちゃんを眺める。考えるようにビルと紙に目を向けるとブンちゃんはニッと笑った。 「行こうぜぃ」 紗智の手を取りホテルに向かって歩きだす。もちろん昼ご飯のハンバーグとステーキは二人で食べた。デザートは別腹。 「なぁ紗智」 『んっ?』 言葉は続かずそのままホテルへと足が向かう。何の話をすることもなくホテルの玄関に辿り着き、招待券を従業員に渡し、場所まで連れていってもらう。 『高い!きれーっ』 窓の近くまで歩み寄ると、見とれたように窓の外の景色を見つめる紗智に従業員も笑顔で、窓辺に席を作ってくれた。 「よかったな」 『うん!!』 紗智の笑顔に嬉しさが込み上げてくる。あのとき本当は、紗智の笑顔がもう二度と見れないと思ったから…。 ケーキバイキングなので中央からケーキを取っているとブン太のあまりの多さにほかの客が驚愕する。 『いつにもまして量すごいね……』 感心したように呟く紗智に当たり前だろぃ?と返すとクスッと笑い声が聞こえてくる。 「何で笑うんだよぃ!」 『だってまたブンちゃんとこうやって話せたから』 「ホントにわりぃ」 『うん。でもメールがないのは寂しかった。ブンちゃんが私のこと嫌いになったのかもって思ったから』 「紗智」 『でももうそんな想いしなくていいんだよね?』 「あぁ!俺は紗智が好きだ」 突然の告白に顔を真っ赤にする紗智が愛おしい。 これからは一生離さねぇ どんなことがあっても 今日を忘れねぇ 紗智といられることがシアワセって分かったから…。 オマケ→ . |