▼ 01 どうして? なんで? そればかり……。 02 「でっ……あゆは、どこのスパイなんだ?」 スパイ?私が?何の? 真剣な目で問われても何も返せないずポカンと口を開けている。 「すみません。何のスパイですか?というかスパイってどんな職業ですか?」 「スパイっていうのは、密偵だな。まぁ俺達マフィアの情報を仕入れて、俺達を壊滅させようってことだろ?」 マフィア? 壊滅? 私一般人ですよ? そんな危ないこと、する訳ないじゃないですか! んーでもマフィアってどっかで………。 「ねぇあゆ。この漫画嵌まるから読んでみない?」 友達が言ったことに無関心だった私。 私にとって、友達といえる子は少なかった。 だけどこの子は、本当の親友だったとハッキリと言える。 「少年漫画?私は少年漫画読まないタイプだって」 「えぇ!嘘?いいからいいから!見てよ。ほらっ!このディーノって人とっても面白いんだよ」 「ディーノ?ってどこの国メインにしてる?」 「えっ?日本だけど?」 「いや日本でディーノはありえないよ。逆に日本人で、ディーノって名前いる方がビックリだよ」 友達の言葉に、反論したにも関わらず目線は、漫画から目がはなれなかった。 特に彼からは……。 私のあの時の気持ちは、きっと『現実にもこういう人がいたらいいのに……』という理想だった。 「……リボーン?」 あの時の記憶が蘇り漫画の題名を呟やく。 「んっ?リボーンの知り合いか?」 「えっ?……いや別に」 「リボーンの知り合いなら日本に行ってみるか!」 って人の話し聞いてよ! どう頑張っても今私が、この世界から帰る道はない。 そういえば初めて目が覚めたとき、どこにいたんだっけ? そこにいけば帰れるかも? 「あゆ。ホントに覚えてないのか?どうしてボネステーゼファミリー本拠地の屋上に倒れていたかとか……」 ボネ? 聞いたこともない。 「…どこですか?」 マフィアなんか一般市民の私が知りはずないよ。 「そうか……なら仕方ねぇ」 「……私はっ……帰りたい……家に…帰りたい…」 帰れないことに、悲しみが心を囲むかのように家のことを思い出す。 涙が止まらないのは何故? あんな家なんてどうでもよかったはずなのに……。 「大丈夫だ。俺が必ず家に帰してやる」 ディーノさんの不器用な温かさに身を預けるようにしてよりかかる。 ディーノさんは初めて見た絵と同じ、私が安心できる表情で微笑んでくれる。 「じゃあ今日はゆっくり休め!どうせ俺も早いうちに日本に行く予定があったしな」 「えっ?いつ行くんですか?」 どうせ行っても私の家なんて存在しない。 それでも……期待は膨らむ。 「なるべく早くがいいんだろ?」 「はい」 「よしっ!明日出発だ……それと敬語はやめてくれ。俺のタイプじゃないしよ」 ニカッと笑うと、ディーノさんは、私の返答をまたず部屋から出ていってしまう。 出発は明日。 そして日本についたら私の家。 ううん。私のよく知る日本に帰る方法を探さないといけない。 日本についたら、一人で帰る方法を見つけなきゃ。 日本にいけば、きっと迷惑をかけてしまう。 ディーノさんは優しい。 だから……。 朝、部屋を訪ねてきたディーノさんに航空券を渡される。 「私お金そんなに……パスポートも!!」 慌ててスカートを触るが、財布も入っていない。 「別に払えなんて言わねぇよ。レディに驕るのは当たり前だろ?それにパスポートも大丈夫だ」 「へっ?そうなの?」 ディーノさんは、驚いた私の頭をクシャクシャと撫でる。 「あぁ」 ニッと微笑む顔にドキッと胸が高鳴る。 ドキドキする。 もしかして、パスポートがないから不正入国? だから緊張したのかも! きっとそうだ! 「じゃあ10時には出るから準備しとけよな?」 「うん」 気を遣ってくれているディーノさんの言葉が嬉しくてニコニコしながら準備を始める。 お前は何でそんなふうに笑えるんだ? 不安だろ? 無理して笑うなよ。 ときおり見せる、##Name2##の悲しげな表情にやるせなさを感じる。 それから、飛行機で日本に到着するまではあっという間だった。 「あゆ?家はどこだ?」 私の家? この世界に私の家はない。 確か此処は……。 友達の話を必死に思い出す。 「並盛?」 「何だ!やっぱリボーンの知り合いか!」 そこにいるんだ。リボーンさんって人が……。 どういう人なんだろう? 興味はあるけど、これ以上ディーノさんといる理由がない。 並盛についたら離れなきゃ……。 「車手配済みですぜ。ボス」 「分かった。あゆ行くぞ!」 「あっうん」 車に乗り込み並盛に向かう。 なるべくボロを出さないようにしないと…。 私が何でこっちに来たのか分からないし……。 こんなことなら本読んでおけばよかった。 (私を必要としてくれてるのは誰?) . prev|main|next |