心から | ナノ
01


どうして?

なんで?

そればかり……。




02





「でっ……あゆは、どこのスパイなんだ?」




スパイ?私が?何の?




真剣な目で問われても何も返せないずポカンと口を開けている。




「すみません。何のスパイですか?というかスパイってどんな職業ですか?」

「スパイっていうのは、密偵だな。まぁ俺達マフィアの情報を仕入れて、俺達を壊滅させようってことだろ?」




マフィア?

壊滅?


私一般人ですよ?

そんな危ないこと、する訳ないじゃないですか!



んーでもマフィアってどっかで………。






「ねぇあゆ。この漫画嵌まるから読んでみない?」




友達が言ったことに無関心だった私。


私にとって、友達といえる子は少なかった。
だけどこの子は、本当の親友だったとハッキリと言える。




「少年漫画?私は少年漫画読まないタイプだって」

「えぇ!嘘?いいからいいから!見てよ。ほらっ!このディーノって人とっても面白いんだよ」

「ディーノ?ってどこの国メインにしてる?」

「えっ?日本だけど?」

「いや日本でディーノはありえないよ。逆に日本人で、ディーノって名前いる方がビックリだよ」




友達の言葉に、反論したにも関わらず目線は、漫画から目がはなれなかった。


特に彼からは……。



私のあの時の気持ちは、きっと『現実にもこういう人がいたらいいのに……』という理想だった。







「……リボーン?」



あの時の記憶が蘇り漫画の題名を呟やく。



「んっ?リボーンの知り合いか?」

「えっ?……いや別に」

「リボーンの知り合いなら日本に行ってみるか!」



って人の話し聞いてよ!

どう頑張っても今私が、この世界から帰る道はない。

そういえば初めて目が覚めたとき、どこにいたんだっけ?

そこにいけば帰れるかも?




「あゆ。ホントに覚えてないのか?どうしてボネステーゼファミリー本拠地の屋上に倒れていたかとか……」



ボネ?
聞いたこともない。



「…どこですか?」



マフィアなんか一般市民の私が知りはずないよ。



「そうか……なら仕方ねぇ」

「……私はっ……帰りたい……家に…帰りたい…」



帰れないことに、悲しみが心を囲むかのように家のことを思い出す。


涙が止まらないのは何故?
あんな家なんてどうでもよかったはずなのに……。




「大丈夫だ。俺が必ず家に帰してやる」




ディーノさんの不器用な温かさに身を預けるようにしてよりかかる。

ディーノさんは初めて見た絵と同じ、私が安心できる表情で微笑んでくれる。




「じゃあ今日はゆっくり休め!どうせ俺も早いうちに日本に行く予定があったしな」

「えっ?いつ行くんですか?」




どうせ行っても私の家なんて存在しない。
それでも……期待は膨らむ。




「なるべく早くがいいんだろ?」

「はい」

「よしっ!明日出発だ……それと敬語はやめてくれ。俺のタイプじゃないしよ」




ニカッと笑うと、ディーノさんは、私の返答をまたず部屋から出ていってしまう。


出発は明日。


そして日本についたら私の家。
ううん。私のよく知る日本に帰る方法を探さないといけない。


日本についたら、一人で帰る方法を見つけなきゃ。

日本にいけば、きっと迷惑をかけてしまう。

ディーノさんは優しい。

だから……。






朝、部屋を訪ねてきたディーノさんに航空券を渡される。




「私お金そんなに……パスポートも!!」




慌ててスカートを触るが、財布も入っていない。




「別に払えなんて言わねぇよ。レディに驕るのは当たり前だろ?それにパスポートも大丈夫だ」

「へっ?そうなの?」




ディーノさんは、驚いた私の頭をクシャクシャと撫でる。




「あぁ」




ニッと微笑む顔にドキッと胸が高鳴る。



ドキドキする。
もしかして、パスポートがないから不正入国?

だから緊張したのかも!

きっとそうだ!




「じゃあ10時には出るから準備しとけよな?」

「うん」




気を遣ってくれているディーノさんの言葉が嬉しくてニコニコしながら準備を始める。




お前は何でそんなふうに笑えるんだ?

不安だろ?

無理して笑うなよ。


ときおり見せる、##Name2##の悲しげな表情にやるせなさを感じる。





それから、飛行機で日本に到着するまではあっという間だった。




「あゆ?家はどこだ?」




私の家?
この世界に私の家はない。
確か此処は……。


友達の話を必死に思い出す。




「並盛?」

「何だ!やっぱリボーンの知り合いか!」




そこにいるんだ。リボーンさんって人が……。

どういう人なんだろう?

興味はあるけど、これ以上ディーノさんといる理由がない。

並盛についたら離れなきゃ……。




「車手配済みですぜ。ボス」

「分かった。あゆ行くぞ!」

「あっうん」




車に乗り込み並盛に向かう。



なるべくボロを出さないようにしないと…。

私が何でこっちに来たのか分からないし……。

こんなことなら本読んでおけばよかった。



(私を必要としてくれてるのは誰?)


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