心から | ナノ
01




道がないなら作ればいい


先が見えないなら


みんなで歩けば怖くない




08




外に出るとリムジンが待ち構えていた。




「えっ?」




そのまま手を引かれ、リムジンに乗り込むとディーノさんも目の前に座る。




「どこに行きたい?」

「行きたい場所……」



私1人じゃなくて、みんなが楽しめる場所。

楽しくて

広くて…

そんな……。



「遊園地?」




首を傾げながら声をだす。




「おっ。いいじゃねぇか。楽しそうだ」




運転席の人に、行き先を告げると、車が発進する。
すると、ディーノさんが深刻な顔つきで私を見つめてきた。




「ロマーリオに聞いたと思うが……俺はボンゴレの雲の守護者の家庭教師をすることになってな……」

「はい。えっと……頑張って下さいね?」

「あぁ……だからあゆの近くにいられねぇ。だけど並盛中に行けば信用できそうな奴がいる……並盛中に通う気あるか?」

「並盛中?」

「あぁ最初に聞いただろ?並中か?ってな。そこに俺の弟分の沢田綱吉……ボンゴレ10代目が通ってる」



私はこれでも高校生だ。勉強にはついていける……

でもどう見ても中学生には見えないはず?



「通う通わないじゃなくて……私中学生に見えます?」

「あっ?あぁ」

「……」




迷わず答えてしまったが、沈んだようにうなだれる様子を見て、自分の失態に気づき、あゆの頭を撫でる。




「あゆが本当は高校生なのは分かってる。でもな、俺に関わってしまった以上危険なことが多くて…悪いな」




済まなそうに笑うディーノさんに、頭を振る。




「ディーノさんは悪くない。だってディーノさんに私が迷惑かけてるんだから」

「……んなっ顔すんなよ。あゆは笑顔の方が似合うぜ」




ディーノさんに言われた言葉に、顔が赤くなる。




「なら私一度連絡したい人がいるんだけど……」

「んっ?」

「危ない人じゃないの。だから安心して。……その人の近くにいれば安心だと思うんだけど」




顔をうかがいながら話すあゆに笑いが止まらない。

別にそんなに気にしなくてもいい……。

俺のこと気にしすぎだ。




「あゆが安心ってなら俺は構わないぜ?ただし連絡だけは取れるようにしといてくれよ?心配するからな」

「はーい。じゃあ携帯番号教えとくね?」




俺は、携帯を取り出すあゆをただただ見つめた。

そんなはずはない……と。



「えっ?どうしたの?」




携帯を取り出そうとしない俺を不安そうに見つめるあゆ。




「あゆ携帯持ってたのか…」

「うん。胸ポケットに入ってたのに気付かなかった」




嬉しそうに話すあゆ。
だが、そんな簡単に受け入れられるはずがない。


なぜなら、俺の部下に身体検査させたときは身につけてなかったからだ。

いや。

持っていたはずなら報告があったはず……。

どういうことだ?



「…ィ………ん。ディーノさん」

「あっ悪いな」

「大丈夫?無理してない?」

「あぁ。携帯だろっ?」




携帯を取り出しお互いに交換する。




「これであゆが迷子になっても大丈夫だな」

「迷子にはならないよー」




(この幸せは誰にも壊されたくない……。そんな現実とは裏腹に、世界は回り続ける。)




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