▼ 01 道がないなら作ればいい 先が見えないなら みんなで歩けば怖くない 08 外に出るとリムジンが待ち構えていた。 「えっ?」 そのまま手を引かれ、リムジンに乗り込むとディーノさんも目の前に座る。 「どこに行きたい?」 「行きたい場所……」 私1人じゃなくて、みんなが楽しめる場所。 楽しくて 広くて… そんな……。 「遊園地?」 首を傾げながら声をだす。 「おっ。いいじゃねぇか。楽しそうだ」 運転席の人に、行き先を告げると、車が発進する。 すると、ディーノさんが深刻な顔つきで私を見つめてきた。 「ロマーリオに聞いたと思うが……俺はボンゴレの雲の守護者の家庭教師をすることになってな……」 「はい。えっと……頑張って下さいね?」 「あぁ……だからあゆの近くにいられねぇ。だけど並盛中に行けば信用できそうな奴がいる……並盛中に通う気あるか?」 「並盛中?」 「あぁ最初に聞いただろ?並中か?ってな。そこに俺の弟分の沢田綱吉……ボンゴレ10代目が通ってる」 私はこれでも高校生だ。勉強にはついていける…… でもどう見ても中学生には見えないはず? 「通う通わないじゃなくて……私中学生に見えます?」 「あっ?あぁ」 「……」 迷わず答えてしまったが、沈んだようにうなだれる様子を見て、自分の失態に気づき、あゆの頭を撫でる。 「あゆが本当は高校生なのは分かってる。でもな、俺に関わってしまった以上危険なことが多くて…悪いな」 済まなそうに笑うディーノさんに、頭を振る。 「ディーノさんは悪くない。だってディーノさんに私が迷惑かけてるんだから」 「……んなっ顔すんなよ。あゆは笑顔の方が似合うぜ」 ディーノさんに言われた言葉に、顔が赤くなる。 「なら私一度連絡したい人がいるんだけど……」 「んっ?」 「危ない人じゃないの。だから安心して。……その人の近くにいれば安心だと思うんだけど」 顔をうかがいながら話すあゆに笑いが止まらない。 別にそんなに気にしなくてもいい……。 俺のこと気にしすぎだ。 「あゆが安心ってなら俺は構わないぜ?ただし連絡だけは取れるようにしといてくれよ?心配するからな」 「はーい。じゃあ携帯番号教えとくね?」 俺は、携帯を取り出すあゆをただただ見つめた。 そんなはずはない……と。 「えっ?どうしたの?」 携帯を取り出そうとしない俺を不安そうに見つめるあゆ。 「あゆ携帯持ってたのか…」 「うん。胸ポケットに入ってたのに気付かなかった」 嬉しそうに話すあゆ。 だが、そんな簡単に受け入れられるはずがない。 なぜなら、俺の部下に身体検査させたときは身につけてなかったからだ。 いや。 持っていたはずなら報告があったはず……。 どういうことだ? 「…ィ………ん。ディーノさん」 「あっ悪いな」 「大丈夫?無理してない?」 「あぁ。携帯だろっ?」 携帯を取り出しお互いに交換する。 「これであゆが迷子になっても大丈夫だな」 「迷子にはならないよー」 (この幸せは誰にも壊されたくない……。そんな現実とは裏腹に、世界は回り続ける。) . prev|main|next |