心から | ナノ
01




「ここはどこ?」




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見たことのない景色に、茫然と呟くが返事は返ってこない。

周りには誰もいない。何故こんなことになってしまったのか、一度頭の整理のために今までのことを思い出す。

まず放課後学校からの帰り道自宅付近の通路を一人歩いてて……。

そうだ!確か大通りを歩いていたはず?
じゃあ今近くに人がいないなんてことは、有り得ないんじゃ……。

えっ?
ということは『夢』?

うん。帰り着いて寝たのかもしれない。

なら夢から覚めなきゃと、目を深く閉じ再び開く。

……変わらない。

あっもしかしたら深い夢なのかも!

あれ?じゃあどうやって家に帰りついて、寝たんだっけ?


必死に頭を働かせるが寝た記憶どころか、通学路を歩いていたという記憶しかまったくない。
いつもと同じように通学路を帰っていた。何も変わったことはないと思う……。


でも、何故か身体の節々が痛みを訴えている。

いたい……?

夢では痛みはない。
じゃあこれは、夢じゃない。


ズキズキと痛む頭を抱える。

そうだ……下校中いつも通りじゃななかった!


いつもと同じだったのは、信号を渡る前までのこと……。


私は、信号無視の車に轢かれたのだ。

轢かれたことまで思い出せた。

私救急車で運ばれずに、犯人に捨てられたとか?


頭痛が酷くなり、考えがまとまらない。


ただ……轢かれたはずなのに、車に衝突した痛みはなかった。

衝突の瞬間までは、記憶がある。私は、当たる!と目を見開いた瞬間目の前が真っ白になった。

………んっ?

私は目を閉じたのではなく、開いていた?


考えれば考えるほど、頭痛が酷くなる。

頭痛にも耐えることが出来なくなると、考える余裕もなくなる。


どうしようもない私は再び意識を手放した。


血生臭い臭いが立ち込める場所で……。







再び目が覚めたときには、見たことのないベッドにいた。

やっと病院に連れて来てもらえたのかと安心したが、病院よりも豪華なベッドに瞬時に違うと頭の中で否定した。




『おっ!目ー覚めたみたいだな。ちょっと待っとけよ?ボス呼んでくるから』




見たことのないおじさんが知らない言葉で話して部屋から出ていった。

……ってずっといたのかな?

それなら声かけてほしかったなぁ。

それにしても、どこの言葉?
日本語で話してくれないと困るのに……。

でも何となくボスという単語だけは聞き取れた。ボスとやらとのご面会を果たさなければいけないと思うと、胃がズキズキと痛んだ。




「ここはどこ?」




声を出してみようと呟いてみる。当たり前に日本語で聞こえたことに安堵する。

しばらくするとドアが開き、カッコイイ男の人とさっきのおじさんが入って来た。




「大丈夫か?あんなところに倒れてたから驚いたんだぜ」



んっ?いきなり日本語?さっきのおじさんだけが日本語話せない?

それよりも今の状況を理解しなきゃ。



「声出るか?」




さっき声は、出したから出るのは分かってる。

でもこの人髪金色だし、日本人じゃないよね?
日本語で話していいのかな?




『ボス。この子混乱してるんじゃないのか?』

「それもそうだな。悪い!俺はディーノ。お前名前は?」

「あゆ…三並あゆ」




大きな声を出したことにむせると、ディーノさんが水を渡してくれる。




「やっぱ日本人か」

「えっ?ここ日本ですよね?それより言葉は……」

「ここは、イタリアだ。言葉は、お前の見た目からして日本語がいいと判断したからよ?それにしても何でイタリアにいたんだ?旅行か?」

「イタリア?私日本から出たことありません。パスポートも持ってないですし……」



……どうして。
イタリアに?



「……話変わるんですが。……私貴方に会ったことありますか?」

「俺に?……俺があゆと会ったことあったら俺は、絶対あゆのこと忘れないはずだぜ」

「オイオイ、ボス。口説くなよ」

「なっ!!俺は本当のことを言っただけだぜ」



というかあのおじさんも、日本語話せるんだ…。

良かった…。

でも私ディーノさん見たことあるんだけど。

どこで見たんだろう?





(私の頭では、まだ理解出来ないことばかり……。でもなんとなく彼らは、信じてもいい気がする……。)



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