心から | ナノ
01



時が満ちたとき全てが分かる。


運命を決めるのは、自分。


受け入れるのも…。


また……。




06




「まぁ今はそんなこと忘れて、とりあえず寝ようぜ」

「そうですね。まだ夜みたいですし」

「ストップ!」

「えっ?何ですか?」

「敬語はやめろよな?」

「はい!……ねぇディーノさん?私が寝るまでここにいてくれる?」




顔が赤くなるのを気にしないように、ディーノさんの顔を伺いながら話す。そんな私にディーノさんは、笑いながら頭を優しく撫でてくれる。




「ついていてやるから安心して眠れよなっ?」

「うん!」




ディーノさんに向かって笑みを浮かべる。撫でられることに、安心すると瞼は、ゆっくりと落ちていった。








俺は、暫くして自分が寝てしまっていたことに気付いた。
ふと月明かりの中ベッドに目を向けるが、ベッドに彼女の姿がないことに気付く。




「あゆ?」




恐る恐る声をかけるが、返事はない。

彼女の不在に飛び起きると、肩からバサッと上着が落ちる。寝る前には、かけていなかったものだ。
持ち上げ確かめてみると、今日彼女が着ていたものだと分かる。




「あゆ?」




もう一度名前を呟いてみると『ふぇ』という声がかすかに聞こえる。

不思議に思いゆっくりと近づくと、声を押し殺して泣いているあゆの姿が目に入り


言葉を失った。


物音を立てないように近づき、洗面所で疼くまっているあゆの肩にそっと手を置く。




「あゆ?」

「えっ?あれっ?ディーノさん。おはよう」




あゆは、俺に泣いていたことを隠そうと、必死に目を拭き真っ赤に腫れた目を伏せながら、笑いかけてくる。




「もう起きたんだ!私早く目が覚めて眠れなくてね。まだ寝ててもいいんだよ?ほらっまだ明るくないし……」

「いや俺も目が覚めちまってな」



作り笑いなんていらねぇんだ。

なぁ俺はどうしたらいい?



「わっ私お腹空いちゃって目が覚めて……」




立ち上がろうとしたあゆの手をぎゅっと掴む。




「ディーノさん?」

「泣けよ。泣いちまえよ……我慢してるもん全部吐き出した方がスッキリするんじゃねぇか?」




俺の言葉に崩れるように、座り込むあゆを、そっと引き寄せ背中を撫でる。




「…ふっ……っ」

「大丈夫だ」




不器用なあゆ。

なんでそんなに自分の思いを閉じ込めてんだ?

頼ってもいいんだぜ。




しばらくすると顔を真っ赤にしたあゆが微笑む。




「ありがとう」




あゆが落ち着いたと分かり、安心して優しく頭を撫でるとクスッと笑い声が聞こえてくる。




「もう大丈夫だから離していいよ?」




恥ずかしいのか俯いたまま顔をあげない##Name2##に、笑いかける。
あゆは、照れたのか、何も言わず立ち上がる。
俺は、あゆの行動を楽しむかのように、##Name2##を眺めているとあゆがクスッと笑った。




「お腹空いたね?」




笑顔が戻ったあゆの顔は今までよりも晴れやかだった。




(俺は、こんなあゆだから支えたいと思うんだ。あゆが何者だろうと関係ねぇ。絶対に誰にも渡したくねぇ。)


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