▼ 01 時が満ちたとき全てが分かる。 運命を決めるのは、自分。 受け入れるのも…。 また……。 06 「まぁ今はそんなこと忘れて、とりあえず寝ようぜ」 「そうですね。まだ夜みたいですし」 「ストップ!」 「えっ?何ですか?」 「敬語はやめろよな?」 「はい!……ねぇディーノさん?私が寝るまでここにいてくれる?」 顔が赤くなるのを気にしないように、ディーノさんの顔を伺いながら話す。そんな私にディーノさんは、笑いながら頭を優しく撫でてくれる。 「ついていてやるから安心して眠れよなっ?」 「うん!」 ディーノさんに向かって笑みを浮かべる。撫でられることに、安心すると瞼は、ゆっくりと落ちていった。 俺は、暫くして自分が寝てしまっていたことに気付いた。 ふと月明かりの中ベッドに目を向けるが、ベッドに彼女の姿がないことに気付く。 「あゆ?」 恐る恐る声をかけるが、返事はない。 彼女の不在に飛び起きると、肩からバサッと上着が落ちる。寝る前には、かけていなかったものだ。 持ち上げ確かめてみると、今日彼女が着ていたものだと分かる。 「あゆ?」 もう一度名前を呟いてみると『ふぇ』という声がかすかに聞こえる。 不思議に思いゆっくりと近づくと、声を押し殺して泣いているあゆの姿が目に入り 言葉を失った。 物音を立てないように近づき、洗面所で疼くまっているあゆの肩にそっと手を置く。 「あゆ?」 「えっ?あれっ?ディーノさん。おはよう」 あゆは、俺に泣いていたことを隠そうと、必死に目を拭き真っ赤に腫れた目を伏せながら、笑いかけてくる。 「もう起きたんだ!私早く目が覚めて眠れなくてね。まだ寝ててもいいんだよ?ほらっまだ明るくないし……」 「いや俺も目が覚めちまってな」 作り笑いなんていらねぇんだ。 なぁ俺はどうしたらいい? 「わっ私お腹空いちゃって目が覚めて……」 立ち上がろうとしたあゆの手をぎゅっと掴む。 「ディーノさん?」 「泣けよ。泣いちまえよ……我慢してるもん全部吐き出した方がスッキリするんじゃねぇか?」 俺の言葉に崩れるように、座り込むあゆを、そっと引き寄せ背中を撫でる。 「…ふっ……っ」 「大丈夫だ」 不器用なあゆ。 なんでそんなに自分の思いを閉じ込めてんだ? 頼ってもいいんだぜ。 しばらくすると顔を真っ赤にしたあゆが微笑む。 「ありがとう」 あゆが落ち着いたと分かり、安心して優しく頭を撫でるとクスッと笑い声が聞こえてくる。 「もう大丈夫だから離していいよ?」 恥ずかしいのか俯いたまま顔をあげない##Name2##に、笑いかける。 あゆは、照れたのか、何も言わず立ち上がる。 俺は、あゆの行動を楽しむかのように、##Name2##を眺めているとあゆがクスッと笑った。 「お腹空いたね?」 笑顔が戻ったあゆの顔は今までよりも晴れやかだった。 (俺は、こんなあゆだから支えたいと思うんだ。あゆが何者だろうと関係ねぇ。絶対に誰にも渡したくねぇ。) . prev|main|next |