新生活 | ナノ
01



また慌ただしく


一日が


始まる




心の支え



ママさんにリボーンくんが何と説明したのかは分からないけど、誠也くんと准くんは沢田家に住むことが決まった。

始めは名字で呼ぼうとしたけど、准くんによそよそしいからと言われお互い名前で呼ぶことになった。


って急がないと遅刻しちゃうんだった。



大慌てで一階に降りる(私の部屋はツナの部屋の隣で二人はツナの部屋の前)




「おはようございます。遅くなってすみません」




ツナのお母さんもといママさんに声をかけると大丈夫よと笑顔で返され、挨拶される。

いつもこの時間には、ママさんとリボーンくんの2人が起きている。
しかし、ふとリビングに人がいる気がするため、目線を向けると誠也くんがコップを持って優雅に座っていた。


ツナとは違って落ち着きがある。




「おはよう。リボーンくん」




再びキッチンに目線を戻し、近くの椅子に座っていたリボーンくんに挨拶をする。




「あぁ。今日は遅かったんだな」

「うっ……昨日色々あったからね」




苦笑しながら返すとリボーンくんはニヒルに笑っていた。

このままでは危険だと私の心臓が告げるため、足早にリビングにいる誠也くんの近くへと移動する。




「何か?」

「へっ?いや……おはようございます」

「あぁおはよう」




カップから口を話してフッと笑う誠也くんにドキドキしてしまった。

うん。

ツナよりかカッコイイのは間違いない。




「コーヒー?」

「あぁ」

「早いんだね」

「准が邪魔だったからな。目が覚めた」

「あははっ。朝から災難だったんだね?お疲れ様です!待っててすぐにご飯出来ると思うから」

「あぁ」




怖いと思っていたけど、意外とそこまで恐怖心はなく安心しながら、ママさんの手伝いを始めた。





朝食の準備を終え周りを見回す。

ツナと准くんは今だに起きてこない。

ツナはいつものことだとしても、さすがに准くんまでとは思っていなかったため、黙々とご飯を食べている誠也くんをちらりと見る。




「……あいつなら起きてこない」

「へっ?」

「准のことだろ?」

「…うん」




ただちらりと見ただけなのに、そこまで分かられると逆にドキリとする。




「准はいつも誰かに起こされてた。起こされないと一日中寝てる」

「うそっ!一日中?」

「あぁ。悪いが綱吉を起こすついでに、准も起こしてくれないか?」




苦笑しながらも、頼んでくる誠也くんも大変なんだと心の中で同情した。




「いいよ。でもツナ起こすのが私だってよく分かったね」

「そんなの簡単だろ?」

「えっ?リボーンくん?」

「この中で起こす係にお前が1番向いてる」

「そうかな……」

「そんなことより早く起こしに行かねぇと遅刻するぞ」

「うわっ」




時計を見て慌てて起こしに行く。自分も寝坊したからいつもよりも余裕がないことを忘れていた。




「ツナー?」




ドアを開けるとまだ熟睡しているツナがいる。




「遅刻だよー」




遅刻までには時間はまだ残っている。

あえて遅刻という言葉を使ってみる。




「……あと5分」

「あと5分待ってたら、雲雀先輩追いかけてくるかもなー」




冗談気味に椅子に座りながら話すと、バサッと音を立ててツナが起きた。

心なしか顔が青ざめている。

やっぱり雲雀先輩怖いんだと思っていると、時計を見たツナが不機嫌そうにしていた。




「何だよ!那津。まだ遅刻じゃないじゃんか!」

「そうだね!おはようツナ」

「はぁ……おはよう」

「じゃ私准くん起こしてくるから、早くご飯食べなよ?置いていくよ」

「准もまだなの?」

「うん。誠也くんに頼まれた」

「そうなんだ……」

「じゃ」




ツナの返事を待たずに部屋から出る。

目指すは向かいの部屋だ。

ノックをするが返事はない。部屋を覗くと、准くんは、すやすやと眠っていた。




「うるさいって誠也くん言ってたけど……全然そうは見えない」




准くんと誠也くんは、畳みの部屋のため床に布団を引いて寝ることになったらしい。

誠也くんが寝てた場所には、綺麗に布団が畳んである。

……准くんを起こさなくては!と思い出し、准くんに手を伸ばした瞬間視界が逆転した。

今私の真上には、ギラリとした目で私を睨む准くんがいた。

びっくりして声も出ず、どうしたものかと思案していると准くんがパチパチと瞬きし、驚いた表情になる。




「えっ?俺…悪い!」

「うん。どいてくれればいいよ」



うわっと顔を赤くしながらも、准くんがどいてくれたことにホッとした。



あのギラリとした目には、何の感情もなく少し怖かった。

誠也くんの怖さとは違う

……恐怖だった。



「えっと……起こしに来てくれたんだよな?」

「あっ誠也くんに頼まれて……」

「セイ……」

「……おはよう」

「おぅ!おはよう」

「ご飯出来てるから下おいでよ」

「ありがとな」

「いえいえ」




早急に立ち去らねば、この雰囲気は気まずい。

さっきのことに触れないように会話を進めることに安堵しながらも、足早に部屋を出る。




「あっ那津」




部屋を出た瞬間ばったりとツナに出会う。

ツナを見た瞬間自分が手を握りしめていたことに気づき、苦笑する。




「ツナ!」




呼びかけると首を傾げるいつもと同じような仕種に、身体の強張りがなくなる。

笑みを浮かべたまままツナに近づき、肩にオデコをちょこんと乗せる。



「えっ?那津?」

「あぁ。うん…何だかホッとしちゃった。ありがとツナ」

「……そっか」




ツナは何も聞かずにいてくれた。私はもう一度息をつくとツナから離れる。




「本当に遅刻しちゃうね」

「あっ俺ご飯食べる暇ない」

「ふふふっ。大丈夫!今回はサンドイッチにしといたから。食べながら行けばいいよ」

「ありがと那津」




一緒に階段を降り、用意していたサンドイッチと弁当を持って玄関へと向かう。

玄関を開けると獄寺くんと山本くんが待っていた。




「獄寺くん。山本おはよう」

「おはようございます!10代目。あと那津も」

「おはようツナ那津」

「おはよう山本くん!あと獄寺くん」



獄寺くんの言い方をそっくりそのまま返すと嫌そうな顔で睨んできたので、べーっと舌を出して山本くんの後ろに隠れた。




「あははは。お前ら毎日飽きないよな」

「そうだよね。獄寺くんって幼稚〜」

「なっ!お前も同じだろうが!」

「最初から喧嘩腰でいるなんて……成長しないね」

「何だと!那津」

「まぁまぁ二人とも、落ち着いて?遅刻しちゃうよ。那津?那津が用意してくれてたサンドイッチ食べる暇なくなるじゃん」

「あっ!そうだったね」

「じゃとりあえず学校に行こうぜ」

「うん」



獄寺くんには、一言も発する隙を与えず学校に向けて歩きだす。

獄寺くんは、何かいいたげな顔をしていたけど、ツナが言うからには逆らわないようで、私を睨みつけながら渋々足を進めた。




(「那津サンドイッチありがと」「どういたしまして」「うまそうだな」「那津が作ったにしてはだけどな」「料理出来ない獄寺くんには言われたくありません」「なんだと!?」「アハハ」
こんなふうに、笑っていられる今がとても幸せだね。)

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