テニス短編 | ナノ
4年に1度

傷つけないよ?

だから

お願い……



貴方ともう一度



「別れて?」

「はっ?」

「だから別れて?」




いやいや不二くん。

私と貴方は付き合ってませんが?




「ゴメンね?」

「えっ?」

「色々と辛い思いしたでしょ?」

「意味分からないんですが」

「ふふっ。今は返事しといた方がいいよ?」

「はぁ……分かりました」

「ありがと」




笑顔で去っていく不二くんに私は校門の前で振られた女になるのだろう。




「秋。別れたってホント?」

「えっ?」

「だから不二くんと」

「はぁ…」




仲の良いと思っていた友達は、クスクスと笑うとやっぱりねと呟いた。




「だって調子のってるんだもん秋は」




仲の良いと思ってたのは、間違いだったようだ。続けてその子は、私をあざけ笑うかのように言った。




「あぁ知らなかったと思うけど、3日前にさ。
不二くんに、メールで付き合ってって言って、夜メールしたんだ。
秋のフリしてね?
それから夜毎日ブリッ子メールしたよ?
あと校内にも少しずつ噂を流してね……
やっぱ不二くんいやがってたんだね」

「何がしたかったの?」

「んっ?だから不二くんが秋のこと好きだって噂があったからね。私不二くんが好きだもん。だからなりきってあげただけだよ?」

「サイテーね」

「ホントだよ。今日はせっかくの僕の誕生日なのに」

「えっ?不二くん」

「知ってたよ?だから君を利用させてもらったんだ」

「利用?」

「三嶋さんに僕を印象付けるためにね」

「私……」

「なっなんで!秋になりきって……」

「どこが?というか…君のこと知ってたから。前から悪い噂あるからね」

「そんな……」

「ねぇ?秋のこと貰うから」




笑顔で私の手を取って歩き出した不二くんに私は言葉もなくただ着いていった。




「ホントゴメンね。朝から……」

「別に……。そうだ!不二くん今日誕生日なんでしょ?」

「そうだけど?」

「私なんかに貰っても嬉しくないと思うけど」




鞄から取り出したプレゼントを両手に持ち。




「お誕生日おめでとうございます。私と付き合ってくれませんか?」

「えっ?いいのかい?僕で」

「最初からそのつもりでした。でも朝から振られるとは思ってませんでしたけど」

「あれは……」

「だから振るなら振ってください」

「……僕と付き合ってくれるかい?」

「……こちらこそよろしくお願いします」




不二くんは、笑顔で私のプレゼントを受けとると同時にギュッと抱きしめた。




「振るわけないから秋のことなら、なおさらね」

「不二くん」

「4年に1度最高のプレゼントありがとう秋」




(彼は4年に1度に私をとても幸せにしてくれました。中学3年の今日が4年に1度でとても良かったです)


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