テニス短編 | ナノ
反対


いつもの


言葉


それは?







「何だ?やっと素直になる気になったのか?アーン?」

「はぁ?いきなり何の話?」

「だから……プロ…」



最後まで言い切る前に跡部の口をパンで封じる



「何しやがんだ!秋」

「うるさいわよ。私はただ生徒会長に書類を渡しにきただけよ」

「全く素直じゃねぇな」

「意味分からないこと並べないでくれない?」



そう!
こうやっていつもの喧嘩は始まる。どうせ負ける戦だ。だって私が勝てる要素は何一つないから。
それはいつものことになってしまっている。



「もういい加減にして!跡部なんて大嫌いなんだから」



これで今日の戦も負け決定。
素直になる?ならない!の問題じゃないことぐらい誰が見ても明白で、私が跡部が好きってことも……。
ほんとは最初は嫌いだった。でも嫌いって言っているうちに好きになった。そう嫌いを言い続ける自分が嫌いなだけで、跡部は好きなんだ。




「またド派手な喧嘩したんやな?跡部」

「まぁな」

「しっかし跡部もようやるわ。……しゃないわ!頑張ってる跡部にええこと教えたる」

「何だよ」

「プロポーズやのうて、普通に交際申し込んだらどうや?」

「どういう意味だ?」

「そこは自分で考えー」



その言葉を残して去って行った忍足にため息がこぼれる



好き過ぎて好きが足りない。愛してるでも彼女という枠で納まらないのが秋なんだ。



でも



「秋!!」

「出た!」

「好きだ。付き合ってくれ!」




その言葉を言った瞬間の彼女の優しい微笑みに再び恋した。



好き



それが素直に言えないときに別の言葉で補うんだ。



反対の言葉で……







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