▼ 反対 いつもの 言葉 それは? 「何だ?やっと素直になる気になったのか?アーン?」 「はぁ?いきなり何の話?」 「だから……プロ…」 最後まで言い切る前に跡部の口をパンで封じる 「何しやがんだ!秋」 「うるさいわよ。私はただ生徒会長に書類を渡しにきただけよ」 「全く素直じゃねぇな」 「意味分からないこと並べないでくれない?」 そう! こうやっていつもの喧嘩は始まる。どうせ負ける戦だ。だって私が勝てる要素は何一つないから。 それはいつものことになってしまっている。 「もういい加減にして!跡部なんて大嫌いなんだから」 これで今日の戦も負け決定。 素直になる?ならない!の問題じゃないことぐらい誰が見ても明白で、私が跡部が好きってことも……。 ほんとは最初は嫌いだった。でも嫌いって言っているうちに好きになった。そう嫌いを言い続ける自分が嫌いなだけで、跡部は好きなんだ。 「またド派手な喧嘩したんやな?跡部」 「まぁな」 「しっかし跡部もようやるわ。……しゃないわ!頑張ってる跡部にええこと教えたる」 「何だよ」 「プロポーズやのうて、普通に交際申し込んだらどうや?」 「どういう意味だ?」 「そこは自分で考えー」 その言葉を残して去って行った忍足にため息がこぼれる 好き過ぎて好きが足りない。愛してるでも彼女という枠で納まらないのが秋なんだ。 でも 「秋!!」 「出た!」 「好きだ。付き合ってくれ!」 その言葉を言った瞬間の彼女の優しい微笑みに再び恋した。 好き それが素直に言えないときに別の言葉で補うんだ。 反対の言葉で…… . prev|main|next |