テニス短編 | ナノ
01

いつまでも


このままでいられる


そう思っていた








「ちょっと待とうか。切原赤也」

「何だよ」

「いやいや幼なじみの私に何か言うことあるでしょう?」

「秋に?ある訳ねぇじゃん」

「赤也!……柳先輩好きな人いるって言ってくれれば」

「告白しなかったのにってか?勝手だな」




赤也は、いつも柳先輩の話しをすると不機嫌になる。私もどうしたらいいか分からず、曖昧に過ごしてしまっていた。




「バカ也のせいだー」




あぁ嫌われた。

こんなことなら、応援するんじゃなかった。

赤也が教えてくれれば結末変わってたかもしれないのに。




「ケッ。柳先輩に嫌われたからって泣くなよ。女々しい奴」

「………?」




一瞬何言われてるか分からずポカンと赤也をみる。次第に頭が整理がついてくると次に怒りと悲しみが沸いてくる。




「あぁだから女って奴は嫌いだぜ」

「ちょっと赤也?意味不明」

「はぁ?柳先輩に振られて頭も余計悪くなったのかよ」

「柳先輩に振られて?………私振られてないし告ってないもん」

「何言ってんだよ!」

「それより、赤也は女が嫌いなの?」




赤也は、目を見開き丸くするが、何も言葉を発そうとしない。




「赤也。答えて」

「………嫌いだよ」

「じゃ私のことも嫌いなのに、無理して一緒にいてくれたの?」

「そういう訳じゃねぇ」

「じゃどういう訳?」

「俺は、別に秋のことは嫌いじゃねぇし」

「好きでもないってことだよね」




自嘲気味の声に我ながら嫌気がさす。

こんなに思ってるのに。

こんなに近くにいるのに。




赤也の気持ちは遠いんだね。




「そっか。ならこの関係おしまいにしよう」

「急に何言い出すんだよ。やめれるわけ「赤也。大好きだよ」

「なっ!」

「だから負担になりたくないの」

「ちょっと待て秋は、柳先輩が好きなんだろ?」

「どこでそうなったのかは知らないけど……違う。私は前から切原赤也だけが好き」




赤也は、目を大きく見開くとため息をつく。
やっぱり振られるのか……。

でも悔いはない。

大好きだから、赤也の負担にならなくてすむ。




思考を巡らせていると、温かい腕に包まれる。




「悪い。俺も秋だけが好きだ」

「えっ?」

「ずっと傍にいろよ」




赤也の言葉に自然と涙がこぼれる。




「傍にいる。絶対離れたりしないんだから!」







秋の恋の応援をしたくなかった


それに振られるって分かってたから


言い出せなかったんだよ




→おまけ







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