テニス短編 | ナノ
02






それでも、涙は止まることを知らず流れ続ける。




「あれ?秋?」

「………」




声の主に見上げれば優しく微笑む不二先輩と菊丸先輩が目に入る。




「えっ!?あっ」




涙が分からないように一生懸命拭いてみるが止まらない。




すると



パフッ



と音を立てて誰かの腕の中にいれられたのが分かる。




「泣いてもいいんだよ?辛いことあったんでしょ?」




不二先輩の言葉に私は不二先輩の腕に縋るように泣いた。菊丸先輩は、その間ずっと優しく頭を撫でていてくれた。




こんなにみんなに迷惑かけて…


私って最低だ


ごめんなさい














「まったくどこいったんだよ!秋」




珍しく壁を殴り怒鳴る自分の姿に、情けなくて苦笑する。秋がそばにいないだけで俺がこんなに……不安になるなんて。




「どこに……」




家にもいなかった。



あのとき言いたそうにしていたこと聞いてやってれば……。


好きな奴ほどイジメたくなる……それじゃあ意味がないことぐらい分かってるのに











泣き止むとホッとしたような笑顔が目に入る。




「もう大丈夫だね」

「はい」

「心配したにゃ」

「ごめんなさい」

「違うでしょ?」

「ありがとうございます!ところで先輩達は………テニスバッグ?」

「うん………ちょっと打とうかなって歩いてたら英二に会ったんだ」

「俺も俺も!!みんな考えることは一緒だにゃ」

「そうなんですか」

「秋も一緒に行かにゃい?」

「いいんですか?」

「そうだね!確か秋もテニス出来るんだったよね?ラケットは貸すから一緒に打たない?」

「はい!!喜んで」




嬉しそうな姿によかったと思う。

あんな悲しそうな姿は久々に見るから………。






パシンと軽快な音が響く。




「秋結構強いにゃー」

「よくリョーマと打ってますから」

「そういえば越前とは幼なじみだったね」

「はい。さっきまでリョーマのとこにいたんですが………疲れてるのに、迷惑かけちゃいけないって出てきたんです」

「……ねぇ秋」

「はい?」

「迷惑って難しいね」

「………?」

「秋は今さっきも僕たちに迷惑をかけたって思ってるだろうけど、僕たちはそうは思ってないよ?」

「そうそう!秋はすぐにそう思うけどさー。俺達は秋が頼ってくれるのが1番嬉しいんだにゃ!だって俺達仲間だかんねー」

「不二先輩。菊丸先輩」

「仲間には頼って欲しいんだよ?」

「はい」










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