テニス短編 | ナノ
01


いつもは言わないけど


今日だけは……










「何やってるの?」




幼なじみで彼氏の手元を覗き込めば、ゲームに熱中しているのが分かる。




「今いいとこ」




はぁ………
この映画今日がラストなんだけどなぁ




「馬鹿」




部屋のベッドに横になりため息をつく




「ねぇ襲われたいわけ?」

「なっ!?」




顔を真っ赤にして飛び上がる




「リョーマの馬鹿」

「そんなこといってると」




グイッと腕を引かれ顔が近づく




「キスするよ?」




その瞬間ゲームの音が鳴り、ゲームオーバーを告げる。




「ゲッ」




今までやってきたことが水の泡となり、ショックで言葉が出ないリョーマに再びはぁとため息をつく。




「秋のせいだよ」

「はぁ!?私関係ないじゃん!!」

「秋が物欲しげな目で俺を見てるから……」




いやいやリョーマさん?

ゲームオーバーは、確実に自分のせいでしょ?

そんなこと言われたら、私は見るだけでもダメってことになりますよ?




そう思うと涙が溢れてくる。




「何泣いてんの?」




私の涙にオドオドしながらも、頭を撫でて泣き止ませようと必死になっているするリョーマに申し訳なくなる。





あぁまた迷惑かけてる


今日だって久々に部活が休みなのに






マネージャーをしているから分かる。リョーマがテニスを好きで、部活を頑張ってること。そして、今だって疲れて寝たいのに、私に気を使ってくれていること………。




「ごめっ……帰るね」




勢いよく立ち上がり部屋から飛び出る。




「ちょっ!!秋!?」




後ろでリョーマの声が聞こえるけど今は構ってられない。




そのままリョーマの家を出て、帰ることも出来ずトボトボと歩き続ける。自分が誘おうとしていた映画館まで……。







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