キメツ短編 | ナノ
・ごめんと言えなくて

彼は幼馴染で名前を煉獄杏寿郎という。


そう


幼馴染であって彼氏ではない



だからこれは理不尽なことだと思う



「うるさいぞ。そんな襲ってくれと言うような格好で行くやつがあるか」

「そんなことないよ。今は普通だよ。杏寿郎が古いの」

「むむむむ」

「うなっても駄目。手離して、約束に遅れる」


今の格好はショートパンツにタイツを履いた状態。上はセーターだ。

かわいい女のコはタイツ履かないかもしれないが、私は別だ。寒いのなんて耐えられない。この格好だと肌も見えてない。
何が悪いのかなんて分からない。


「今日はショッピングと言ってなかったか?」

「そうだよ?友達と行くって言ったでしょ」

「なら何故、宇髄からこんな連絡がくる?」

「こんな連絡って」


杏寿郎が見せたスマホの画面を見ると、今日の合コンのメンバーと書かれていた。そこに私の名前があるのが驚きだ。

「どういうこと?」

「それを俺が聞いている」

「宇髄くんメンバーじゃないのに、何で知ってるかかも知りたい気がするけど。とりあえず友達に連絡してみる」

「それがいい」


友達に連絡すると間違いなかったようだ。杏寿郎の話は、嘘一つなかった。私は知らない間にメンバーにされていたようだ。

合コンなんて参加する訳がない。

私の好きな人はココにいるんだから。


「どうだ?」


自信たっぷりに言う姿に悔しかったから、謝ることも出来ず、それでもここで分かれたくもない私は、ショッピング付き合ってというと一言告げると、当たり前だと満足そうに笑う杏寿郎に、心の中でごめんとありがとうと呟いた。




朝起きた瞬間に電話がなる。
宇髄は俺が起きるのを見てたのかと、言いたくなるほど、正確で驚いた。

いいのか?お前の嫁騙されて合コンいくらしいぞ

嫁ではない。だが俺のものだ。

それで合コンどうするんだ?

阻止する!詳しい情報をくれ

もうスマホに送った。自分で確認しろ

感謝する。ところで何で宇髄が知ってる?

誘われたからな。俺は行かねーけど。気になる情報があったから調べただけだ。

そうか。分かった。

早く付き合ってしまえ。お前らめんどくさいんだよ。



そんな朝の会話があったなんて、杏寿郎から聞かされるまでしらなかった。


いつかちゃんと言うから、色々とね!



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