キメツ短編 | ナノ
03

彼女の話を聞いてから、何故か花奈と会うことが出来なくなった。毎週会っていた居酒屋に来なくなったのだ。理由を聞いても、今忙しいと言われるのみ。俺は何かしたのか?


「どうした煉獄」

「あぁ宇髄か」

「やっぱりあの噂が問題か?」

「あの噂?何かあるのか?」

「おいおい当人が知らないとか普通ねぇよ」

「だから何の話だと言っているだろう」

「あの先生と付き合ってる。理事が認めた婚約者」

「理事!?あの先生??どういうことだ?」

「煉獄。あの先生と廊下で逢引の約束しただろうが」

「逢引の約束じゃない!話をするために、食事に付き合っただけだ」

「始めはそれだけだっただろうが、他の生徒がそれを、見てたんだよ。それであの先生に聞いたら、そういう話をされたとよ」


うむ。あの先生とはあの居酒屋で、決着をつけたはずだ。腹いせか?どちらにしても、この話が盛り上がるとますます花奈と連絡が付けづらくなる。


「早くどうにかしろよー」

「どうにかと言われても、もう話すことはない」

「あの先生は理事長の娘だから、外から埋められるぞ」

「うむ。····宇髄手伝ってもらいたいことがある」

「楽しそうだな!いいぜ。派手にやるぜ」


あの先生と決着をもう一度つける。
だが花奈はこの件には関係ないはずだ。
俺は花奈と話さないと、前に進めない。



………




杏寿郎と居酒屋に会わなくなって、あの居酒屋の日を含めて一ヶ月たっている。私の習慣は、あの日から1日ずれている。いつもは金曜日だった居酒屋通いを土曜日に変えた。実際仕事じゃない日にわざわざ行くのは面倒かと思っていた。しかし案外私の中では、休みにもきちんと出かけるという習慣を作れたということで、リフレッシュにも繋がっている。


だけどこれは想定外だ。


「はぁ。何回も言わせるな。お前が煉獄杏寿郎の嫁かって聞いてる」

「えっと?順番に行きましょう。まずは、貴方誰ですか?」

「俺様は、宇髄天元」

「はぁ。私は佐伯花奈です」

「やっぱりそうじゃねぇか」

「だから!嫁って何ですか?」

「あぁ?煉獄杏寿郎が唯一毎週会っていた女だろうが。それが嫁じゃなかったら何なんだ?」

「そんなの····私が知りたいですよ。杏寿郎にとって私はただの幼なじみでしょうけど」

「ほぉ。お前らメンドクセーな」

「なっ!?」

「まぁいい。来週金曜日17時30分」

「何でしょう?」

「キメツ学園に来い。ちゃんと話は通しといてやるから迷わず理事長室に来いよ」

「理事長室って?」



それだけ言うと宇髄天元という男は去っていった。彼は、何故私がキメツ学園の卒業生と知っていたのだろう。ふしぎな男だ。でも、何があるんだろう?









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