月がみている | ナノ

01




この出会いは

必然


最終選別への会場には、迷いなく着くことができた。最終選別を受ける人数の多さに驚いたが、それでも全員は決して受からないと師範は言っていた。
周りを見るだけで、私の目からしても数名は受かりそうな人がいる。私には、その人が纏う空気のようなものが昔から、見えていた。いつも師範の纏う空気を見ていたので、分かる。この集まった人達のだいたいの強さが····。


「皆様今宵は鬼殺隊最終選別にお集まりいただきありがとうございます」


着物を着ている二人の少女が、今回のことについて説明を開始していた。私は気持ち半々で聞いていた。何故なら、緊張の方が強いため、聞こえなかったというのが正しい。


「それでは行ってらっしゃいませ」


言葉同時にそれぞれ解散していく。私は少し出遅れたのも分かったが、出遅れたからと状況が悪化することでもないため暫し観察を行うために身を潜める。


とりあえず東に向かうことが優先か。とみんな考えるだろう。そうすると、全員そこに集まる。鬼襲来されたら、餌食になる。


うーん。顔で言ったら(゜゜)こんな感じだとと思う。っとこんなことしている間に鬼に、やられた元も子もない。


すると少し遠くで、音がする。頭に面を載せた少年が鬼の様子を伺うように身を潜めている。少年の更に奥で鬼に、遭遇した人がいるようだ。少年が躊躇うことなく助けに入ったのを見て、私はホッとした。
鬼に襲われると、人は投げ出し職務を放棄する。そんな人を今まで多く見ていたからだ。


「っとこんなところで干渉に浸ってる場合じゃない」


私も人を守りたくて隊士を目指した。今やれなければ、一生このままだ。
覚悟を決めると少年の隣に降り立った。


「えっ!?女の子?ってえっ?」

「今は戦いに集中しましょう」

「あっうん」


混乱している少年を他所に、鬼を見据える。これは多くの人を食べている。あえて野放しにしているのか、合格者は会わなかったのかは今は分からない。分からないけど、こいつはここで倒さないといけないのだけは分かった。


「私が囮になります」

「おっ囮!?それは俺が」

「私の方が素早いと思うので、貴方は首を斬ることに集中してください」

「····分かった」

「話は終わったか?俺の可愛い狐」

「狐?」


狐の面を被っている隣の少年のことだろう。


「狐小僧、今明治何年だ?」

「今は大正時代だ」

「大正?」

「貴方もしかして?」


鬼は、私の問いかけなど聞こえなかったようで、年号がと叫び続けている。







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