月がみている | ナノ

02




「許さん許さん。鱗滝め!鱗滝め!鱗滝め!鱗滝め!」

「どうして鱗滝さんを?」

「知っているさ。俺を捉えたのは鱗滝だからな」

「私も聞いたことがある。元柱の人」

「そうだ。あれは忘れもしない。47年前。あいつがまだ鬼刈りをしていたころだ。江戸時代。慶応の頃だった」

「鬼刈り?江戸時代?」

「嘘だ、そんな長く生きている鬼はいないはずだ」


私はこの最終選別の内容は聞かなかったので、そうかは知らないが、狐面の少年の隣の少年。ややこしい。とりあえず狐の少年と弱腰少年にしとこう。
弱腰少年は、試験内容を事前に聞かされていたようだ。でも弱腰少年の言うことは間違いない。鬼は共食いする。生き残れる鬼はいない?いやよく考えれば、鬼は弱肉強食の世界だ。強い鬼だけが生き残る。蠱毒のような世界が出来上がっていてもおかしくはない。弱腰少年の言葉は理想論だ。


「藤の花の牢獄で50人は喰っている。なぁーガキども」

「50人?」

「人を食べて強さを得たって訳ね」

「あぁ。クククッ俺は恵まれている!11.12.13.お前で14だ。そして女のガキ。お前はまた特別だ」

「何の話だ」

「特別!?」

「俺が喰った鱗滝の弟子の数だ。そして稀血のガキ」

「稀血?わっ私が?」

「そんなに美味しそうな匂いをさせて気づかないのか、可哀想なやつだ。誰も教えてくれなかったのか?狙われなかったのか?」


鬼の言葉に昔を思い出す。
嘘だ。私のせいってこと?
昔家が鬼に襲われた日のことを。


「うるさい!違う!」

「ケケケッ。まぁいいさ。そうそう鱗滝の弟子で特に印象に残っているのは2人だな」


なおも狐の少年のこと師を話す鬼に、私は少し冷静さを失っていた。


「私のことや彼のことをお前に語られる筋合いもない!」


私は瞬時に抜刀し鬼の腕を斬る。それでも鬼は笑いながら、私の身体を吹き飛ばした。


こんな鬼に!こんなことって!


私の意識は少しずつ薄れていった。




(大丈夫ですか!?少女を起き上がらせるが意識を飛ばしている姿に、焦りを覚える。この鬼が語る間に意識を戻して貰わないと、この子が危ない)







prev | top | next
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -