勝手すぎる
冨岡先生に連れられて、寮まで帰ってくるが、私の足は一向に進まなかった。
「寺沢?」
「先生。私よく分からないんです!教えて下さい」
「・・・・」
冨岡先生が、口下手なのを忘れてた。
こんなこと聞いても先生も困るだろう。
「答えが知りたいのか?それとも、どうしたいんだ?お前の意見がしっかりしていなければ誰もお前に教えることはできない」
冨岡先生の珍しくもっともな答えに、私自身言葉に詰まってしまう。
「俺は、お前の求める答えなど知らない」
「えっ?」
「答えなんてお前の中にしかないだろう。俺が知るはずもない」
「そう、ですよね」
「・・・ただあの時は、お前も煉獄も懸命に生きてた。それだけだ」
最後の言葉の意味は分からなかった。あの時というのは、前世のことだろうか?
やっぱり冨岡先生は前世を知ってる。
なら煉獄先生は?
あの様子じゃ覚えているはずもないよ。
私の中でそう決着をつけ、冨岡先生に見送られる形で寮に戻った。
その姿を見られているということも知らずに、私にとって最悪な形で真相を知らされることになるとはこの時の私は思ってもみなかった。
「よもやあきは覚えていたのか。俺はやっぱり忘れられなかったがあきには今度こそ幸せになってもらわねば困る」
俺はどうするべきだ?
そんな答えはでるはずもなく、休日は過ぎていった。