どうしても
私はここにいない方がいいのかもしれない。
そうこれが夜目覚めてから出した、私の結論だった。
心はここを離れたくない、そう言ってもいない方がいいとも心が叫んでいる。
彼が、煉獄杏寿郎が思い出さないためには。
学校に行っても徹底的に煉獄先生を避けた。担任のため会わないは出来ない。でも必要最低限ということはできる。
部活動のことは、冨岡先生に話をして解決して貰った。
煉獄先生と話す必要もなくなった。
それが少し寂しく感じることは、仕方がないことだと思う。
あれから1週間たった。
「あきさん?この頃煉獄先生避けてません?」
美人な彼女しのぶちゃんが、私にそう言ったのは昼休みのことだった。
「えっ?」
「勘違いでしたら、すみません。ですが、こう一緒にいないようにしてる気がしまして」
「そう見える?」
「えぇ、まぁ」
「そっか。気をつけるね」
「えっ?」
しのぶちゃんは、私の言葉が意外だったのか何とも複雑そうな顔をしていた。
煉獄先生は始めの頃はチラチラ私のことを見ていた気がする。気のせいかもしないけど。
それからまた1月たった。
「失礼しました」
手続きは順調だと思う。
この書類を次は校長に提出するだけだ。
「いいのか?」
そう私に冨岡先生尋ねたのが、1月前だ。
「担任でもないのに、このようなことをお願いしてすみません」
「そうじゃない」
「分かってます。昔から冨岡先生は言葉が足らないんですけど、優しいんですよね」
「なっ」
私の言葉に冨岡先生は絶句していたけど、お構いなしに話を進める。
「冨岡先生は前世思い出して痛いとか思いました?」
「まぁ。だがそれでも俺は柱だったからな」
「そうですね」
「この学校は私の知ってるかぎり、多くの転生者がいます」
「あぁ」
「煉獄先生もですけど、この学校で初めて私の友達になってくれた、しのぶちゃんもその一人ですよね」
「あぁ」
「私は自分が死んだときのこと思い出しました。痛いっていう感情を覚えています」
「お前はあのとき」
「ハハハッ。そんな顔をしないで下さい!私辛くはなかったんです。痛いのはあったんですけど、何故か嬉しくも感じました」
「どういうことだ?」
「まぁ最後に冨岡先生を見たから安心したんでしょうね。私を叱った貴方ならこんなとこで死なない。ここをどうにかしてくれるって思ったから安心して死ねました」
「安心して死んだとかいうな」
「そうですね。でもほんとに大丈夫だと思ったんですよ」
「そうか」
「でも、もうあの痛みを誰も思い出して欲しくないんです。しのぶちゃんなんて特に」
「だからといって」
「私がいることで思い出してしまったら?そう考えると怖いんです。だから逃げるんです。卑怯者ですみません」
「俺はそう思わない」
「ありがとうございます」
そう私は逃げるの。
全てから。。