▼ 01 久しぶり こんなふうに笑ったの 近くて遠い好きな人 今日は待ちに待った、お出かけの日。今まで、あまり寮から出して貰えなかったこともあり、友達と買い物なんて初めてだ。 そう言えば政宗は、家に来るって言ってたけど、お兄ちゃんに聞いたのかな? そうこう考えている間に時間となっていたため、慌てて外に出る。 『…まさ……む…』 政宗らしき人に声を掛けようとしたが、一瞬躊躇してしまう。こんなに絵になる風景に水はさせないと自然と思う。私の視線に気づいたらしい、政宗が私を見てうっすらと笑った。 こんな美男子に微笑まれたら、卒倒してしまうと心の中で笑った。 「late!」 「ゴメン」 「俺を待たせるなんてお前ぐらいだぜ真那」 「だからゴメンって」 「冗談だ。行くぞ」 スタスタと歩き出した政宗を慌てて追いかける。 「でっどこ行くの?」 「Ah〜。真那は行きたいとこあるか?」 「私は、特には……っていうかあまり分からないから政宗のお薦めのとこに連れて行って?」』 「承知しました。お嬢様?」 ニヤリと笑った政宗はやっぱり様になっていた。 電車に乗ってついた先には、大きなショッピングセンターが並んでいた。 「わぁすごい!広いね」 「真那のhomeに比べれば小さいだろ?」 「んー……分かんない」 「?」 「私小学生のあのときから一度も本邸には帰ってないから」 「Really?」 「うん。お兄ちゃんが会いに来てくれたから寂しくなかったけどね」 「そうか……今日は思う存分楽しませてやる!」 「うん」 私達は試着したり、アイスを食べたり楽しい時間を過ごした。 今までやってこなかったことが残念で堪らない。 政宗には、女の友達と来たらまた違うだろうと言われた。でも、本当のことを知ってる本当の友達とだがと限定された。 待ち合わせしたり、電車に乗ってショッピングセンターに来たり、ファストフードを食べたり、政宗にヘアピンを買って貰ったり、今日一日だけでいっぱい経験出来た。 これが次の日に繋がるとは知らずに……。 (「政宗!あれ何?」 「あれは、実演販売だ」 「じゃあれは?」 「Ah〜!ちょっと休憩しようぜ?」 「?分かった!あっあれ美味しそう」 「真那!Waite!」 振り回される政宗だった。) . prev|main|next |