▼ 01 私が知らないところで 日々何かが起こっている すれ違い様の秘密の言葉 今日はお兄ちゃんが言ってた人探さないと……。 でも先生は全員みたと思うんだけど、おかしい。 とりあえず学校に行けば分かるだろうと足早に学校に向かう。 「うーん。探すって言っても……どうしよう」 「オイ!城井」 「はい!」 低い声で名字を呼ばれ強張る体に鞭を打って振り返る。そこには、伊達くんとヤのつく感じの男性が立っていた。 「何でしょうか?」 2人の鋭い眼光に、ビクビクと身体が震える。 「やっと声かけられたのにその言い草はねぇだろう」 「まだ気づかねぇのか?My friend」 2人に言われても、全然見覚えがない。そもそも伊達くんは、知りあって間もないのに、友達なはずない。 「それとも俺の幼馴染みは、foolだったか?」 「馬鹿って失礼です!伊達くん?」 「昔みたいに呼んでもいいんだぜ?政ってな」 「政?……政宗?」 「of course」 「ってことは……政宗とこじゅろー?」 首を傾げながら不安げに呼ぶと満足した微笑みでこじゅろーと政宗は、あたしの頭を撫でてくれた。 「大きくなったな真那」 「本物のこじゅろーだ!って政宗も変わりすぎだよ。……もしかしてお兄ちゃんの友達ってこじゅろー達のこと?」 「だろうな。彰と腐れ縁なのは俺ぐらいだし。政宗様もあいつから話しは聞いていたみたいだからな」 「あぁ」 「そっか。早くに見つかってよかったよ。あっ!ねぇこじゅろーは、何の教科?」 「俺は、数学を担当している。それより真那」 「んっ?」 「一応学校じゃ片倉先生って呼べ」 「片倉先生?ってことは、こじゅろーの名字?」 「あぁ」 「もしかしてあたしのクラス担当だったりして?」 「よく覚えてたな」 「……んーとりあえず片倉先生よろしくお願いします」 「おぅビシバシやるから楽しみにしとけ」 「全然楽しみじゃないです」 「俺のことも忘れんじゃねぇ」 「ゴメンゴメン」 「でっ何で分からなかったんだ?小十郎はともかく俺の名前はフルネームで知ってただろうが」 「だって……あんなに可愛かった政が、かっこよくなってるなんて思わなかったんだもん。もう政って呼べないよ」 「やっと俺のcharmに気づいたか。まぁそれなら許してやるよ。ただし明日俺とdateすればな」 「デート?って買い物?行く!」 「決定だな」 色々言われたが、結局政宗は優しい。こっちにきて忙しかった私を気晴らしに誘ってくれたのだから……。 この2人は、いつも私を気にかけてくれる。だから私にとって、お兄ちゃんと同じくらい大切な人だ。そして、私の素性を知っている人物でもある。 政宗も大企業の息子なのだから、当たり前なのだけど……。こじゅろーは、政宗のお付きの人。教師をしてるなんて知らなかったけど。これでまた私の居場所が一つ増えた気がした。 (「日曜に家の前で待ってろ。迎えに行く」 「分かった。楽しみにしとくね」 「Ah」) . prev|main|next |