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03



教室に着くまで色々な話をした。時々話が噛み合わない気がしたけど……。高校に入って初めの友達がこんなに可愛くて優しい女の子でよかったと思った。



教室に入るために、市ちゃんと別れる。市ちゃんは『またね』と手を振って自分の教室に歩いていった。教室の中は、すでに何名もいた。後ろから入り黒板に書いてある自分の席を確認する。最悪なことにベランダ側の1番前の席だった。




「1番前……嫌だなぁ」




嫌々ながらも席につき、外を眺める。席の不満を覚えながら、ぼぉーっとしていると隣の席に人が座る音がする。早く高校に馴染みたいと思い、挨拶しようと視線を外から隣の席に移す。すると、体育館で見かけた派手な集団の1人が隣に座っていた。隣の子の奥側にも1人座っていたのが見え、絶句する。こういう人は、クラスにの雰囲気を作る人物だ。あんまり目立ちたくないのに、クラスの中心人物の隣は自然と目立ってしまう。



怖いと思った。隣の席というだけで恨まれたり、睨まれたりするのではないかと怖くなった。



気分を変えようと今の想像を打ち消すように目を泳がしていると、隣の席のオレンジ頭くんと目があってしまった。




「なっにー?俺様にご用?」




オレンジの人は、目が笑ってなかった。顔は、笑顔だ。でもそれは、笑っているように見せてるだけ……。昔の私がそこにいるみたいで、思わず目をそらしてしまう。自分から反らしてしまったせいか、もう一度声をかけられることはなかった。




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気まずい雰囲気のままあたふたしていると、先生が入って来た。




「このクラスの担任を務める。まつにございまする。外部者以外はまつのことは知っていると思いまする」




そういえば、お兄ちゃんが中学と合同で体育大会をするって言ってたなぁ。あと他にも交流会があるとか……だからみんな知ってるんだろうなぁ。




「このクラスでの外部受験者は1人なので、転入生だと思って仲良くして下さいませ。では、ついでにクラスの委員を決めておきたいと思いまする」




先生!それついでじゃないです。それに、外部1人ってわざわざ言わなくてもみんな分かってると思うので、言わないでいて欲しかったです。



と考えている間に次々と委員会が決まっていた。




「図書委員の希望者はおりまするか?」




本が好きなので、中学のときもやっていた図書委員なら出来るかもと考え手を挙げると、相手がいないため仮決定と言われる。



みんな友達同士でするから、1人になっちゃう。と少し寂しい気持ちで黒板を眺める。




「……男子も女子も保体委員会が2人ずつ決まっておりませぬ。ここは平等に男女分かれてじゃんけんで決めて下さいませ」



先生?いいんですか?
そんな適当で……。



クラスの女子で集まりじゃんけんをする。全員でしてるのだから、簡単に決まるはずない。



………はずだった。



「……クッ。負けた」

「1発負け……」




金髪の美少女と私が1発負けしたのだ。もちろん彼女と2人保体委員決定だった。



あんまり保体委員なんてしたくないと思ったが、負けた自分が悪いと運命を呪った。



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