Real World | ナノ
02



おそるおそる目を開くと、彼女の手を掴んでいる少年がいた。




「風魔くん!?どうして?」

「……」




風魔くんは何も言わず、私の前に立ち、彼女達を睨んでいた。




「えっと私達は、この子とお話ししていただけよ?」

「あぁまぁそんなものです」




彼女達は、私が庇ったことが意外だったらしく、目を見開いている。風魔くんはチラリと私に目をむけるが、またすぐに彼女達を睨み付けた。彼女達は、風魔くんの様子にビクビクしながら、足早に去って行く。




「ありがとうございました!風魔くん」

「……」




風魔くんは、フルフルっと首を振ると、ボソボソと呟く。




……真那さま

「えっ?」



私に対して真那さまと呼ぶ人は彼だけだ。小さい頃いつも一緒にいた彼一人だけ…。


もしかして風魔くん。




「……コタ?」




コタと呼んだ瞬間風魔くんがフワリと笑った気がした。



やっぱりと思った。でもどうして言ってくれなかったのかと思ってしまう。



……真那さまが気付かないから……

「でも!」

俺は彰先生に言われなくても気づいた




コタの方が私に少し腹を立てているようだ。



だからといって言い訳するわけではないが、私の身近な人物は素がいいのか、美形に育ち過ぎている。分かるわけがない。



「ゴメン。……そういえば、どうして此処に?」

噂聞いたから……1日中気配を窺ってた

「そっか!心配してくれたんだね。ありがとう」

俺は真那さまの何か分かってる?

「えっ?……友達?」

「………」

「……昔の契約切れてるんじゃないの?」




首を横に振るコタに、首を傾げていると、屋上のドアが勢いよく開く。




真那!




屋上に勢いよく飛び込んで来た人間に思わず、いつものように呼んでしまいそうになるが、必死で堪えた。




「……彰先生」

「いやそこはお兄ちゃんでしょ真那」

「せっかくのシリアスムード台無しだよ」

「でもな?風魔からの報告で真那が呼び出されたって聞いたから居てもたってもいられなくてよ?」

「うん」

「職員会議抜け出してきたんだぜ」

「……うん。ありがとう。でも職員会議戻って?」

「………大丈夫だ。もう終わってる」

「ただのサボりじゃん」

「はははっ。そういうこともある。っと風魔?ありがとよ」




コタは、お兄ちゃんに頭を垂れた状態で座している。




「コタとの契約は、お兄ちゃんが?」

「あぁ。またお前のボディーガードになりてーんだとさ」

「……そんな私のボディーガードなんて必要ないよ」




コタはフルフルと首を振ると、私の手を掴んで『俺がしたいだけ』と書いた。



やっぱりコタは変わらない。私の前では喋るくせに、他の人がいれば手に書いて伝える。



「でも……」




言い返そうとした私の唇に人差し指をおいて黙らせると『俺の生涯たった1人の主は、真那だけだから』と書いた。
その言葉に涙が溢れてくる。また1人私を必要としてくれる大切な人が増えた。




(「感動してるの悪いが、少しは俺も仲間にいれて」
「今まで内緒にしてたお兄ちゃんなんて仲間に入れるわけないじゃん」
「なっ!……真那は、根に持つから秘密にしたくなかったんだぞ?風魔!」
コタは、知らないとばかりにお兄ちゃんを無視していた。お兄ちゃんもコタに口止めされてたと思うと少し笑えてきて、コタと一緒にクスクス笑った。)



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