▼ 01 一緒に…… なんて言えない 短いスカートに恋をして 「俺様教室行きたくなぁい」 「何!?佐助ぇー。お館様の授業を受けたくないのか!?」 一大事だとばかりに身を乗り出す旦那に、苦笑する。 「別にそんな訳ないじゃん。大将には世話になってるし……」 大将は、俺様の命の恩人。そして旦那は、俺様にとって失いたくない人だ。 「なら……かすが殿がいるのだ。早く行ったらどうだ?」 「なっ!?………ゴホン。かすがは俺様の幼なじみなだけでしょうが!」 そう。俺様にとってかすがは、ただの幼なじみのはず。 「俺様が行きたくない理由が他にもあるの!」 「他でござるか?」 「そっ」 「ふむ……それより佐助。お前は、委員会は何になったのだ?」 「……俺様保体委員になったよ」 「誠か!?某もでござる」 「えっ?旦那も?」 「佐助が自ら進んで保体委員会になるとは、嬉しいでござる。うおおぉーお館様ぁぁー!!」 叫びながら駆け出していく旦那を、止めるタイミング間違えたとため息をつくが、どうせ大将のところに殴り愛にでも行ったのだろうから、気にすることもない。再び重い足を引きずりながら廊下を進んでいけば、思っていたよりも廊下は短かく、教室の入り口が目の前にあった。中を覗けば、窓際の彼女の姿が目に入り、再び深いため息がこぼれる。 早いって来るの! と人のことも言えず、廊下でしばらく立っているといきなり後ろから突き飛ばされた。 「イテっ」 そのまま中に入ることになり、悪態を付きながら自分を飛ばしたであろう人間を見る。 「なーに朝からしけたツラしてんだよ佐助!」 「チカちゃん。人を突き飛ばしといて何つー言い草してんの?」 「テメェがしけたツラしてっから励ましてやろーって思ってよ」 余計なお世話だ。 「はいはい。俺様感激大感謝。ありがとー」 棒読みで言い終えて、ひらひらと手を振りながら自分の席へと向かう。後ろで喚いてるチカちゃんに付き合ってたら、俺様の貴重な時間がなくなる。先程まで自ら嫌がっていたのも忘れて席に着くと、隣の彼女も『おはようございます』と挨拶してくる。 「おはよー。えっと城井さん……言いにくいから真那ちゃんって呼んじゃっていい?」 『どうぞ』 たんたんと話しをしているが、彼女が自分との話しに興味がないことなど嫌でも予想がつく。時々チラチラと周りを眺めているのがいい証拠だ。 . |