Real World | ナノ
01


一緒に……

なんて言えない





短いスカートに恋をして





「俺様教室行きたくなぁい」

「何!?佐助ぇー。お館様の授業を受けたくないのか!?」




一大事だとばかりに身を乗り出す旦那に、苦笑する。




「別にそんな訳ないじゃん。大将には世話になってるし……」




大将は、俺様の命の恩人。そして旦那は、俺様にとって失いたくない人だ。




「なら……かすが殿がいるのだ。早く行ったらどうだ?」

「なっ!?………ゴホン。かすがは俺様の幼なじみなだけでしょうが!」




そう。俺様にとってかすがは、ただの幼なじみのはず。




「俺様が行きたくない理由が他にもあるの!」

「他でござるか?」

「そっ」

「ふむ……それより佐助。お前は、委員会は何になったのだ?」

「……俺様保体委員になったよ」

「誠か!?某もでござる」

「えっ?旦那も?」

「佐助が自ら進んで保体委員会になるとは、嬉しいでござる。うおおぉーお館様ぁぁー!!」




叫びながら駆け出していく旦那を、止めるタイミング間違えたとため息をつくが、どうせ大将のところに殴り愛にでも行ったのだろうから、気にすることもない。再び重い足を引きずりながら廊下を進んでいけば、思っていたよりも廊下は短かく、教室の入り口が目の前にあった。中を覗けば、窓際の彼女の姿が目に入り、再び深いため息がこぼれる。



早いって来るの!



と人のことも言えず、廊下でしばらく立っているといきなり後ろから突き飛ばされた。




「イテっ」




そのまま中に入ることになり、悪態を付きながら自分を飛ばしたであろう人間を見る。




「なーに朝からしけたツラしてんだよ佐助!」

「チカちゃん。人を突き飛ばしといて何つー言い草してんの?」

「テメェがしけたツラしてっから励ましてやろーって思ってよ」



余計なお世話だ。



「はいはい。俺様感激大感謝。ありがとー」




棒読みで言い終えて、ひらひらと手を振りながら自分の席へと向かう。後ろで喚いてるチカちゃんに付き合ってたら、俺様の貴重な時間がなくなる。先程まで自ら嫌がっていたのも忘れて席に着くと、隣の彼女も『おはようございます』と挨拶してくる。




「おはよー。えっと城井さん……言いにくいから真那ちゃんって呼んじゃっていい?」

『どうぞ』




たんたんと話しをしているが、彼女が自分との話しに興味がないことなど嫌でも予想がつく。時々チラチラと周りを眺めているのがいい証拠だ。




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