/新年企画\ | ナノ


▼ 芥川 慈郎

「……慈郎君、起きてーっ」

私は慈郎君を揺すった
だが…

「…すぅ」

寝息が聞こえるだけだった
せめて、身じろぎをしてほしい
爆睡し過ぎだ

「…もー…」 

私はそんな慈郎君から目を逸らしカレンダーを見る

2014.1.1
それが今日である
つまり元旦なわけで
私は初詣に行きたいわけで
初詣といったら彼氏と共に行きたいわけで
けど、いつも寝る慈郎君はやっぱり寝ているわけで…
とどのつまり、行けないでしょう


私ははぁ、と一つため息をもらす
昨日から私は慈郎君の家にお泊まりさせてもらっている
…けど、慈郎君は除夜の鐘を聞く前に寝てしまった
結局、一人で聞いた


「ねー、慈郎君〜っ」
「……んー?名前の声だC〜」
「ぁ、起きた!」

私はまた寝てもらわれては困ると思い、ここぞとばかりに揺すった

「慈郎君!!!慈郎君!!!」
「んー?」
「初詣!!!初詣行くよ!」

私はずっと言いたかった言葉を言えた
けど…やっぱり返事は予想していた通りだった

「寝てたいC〜…」
「…もー…」

私は肩を落とす
すると慈郎君が体を起こした

「名前」
「ん?…うわっ!」

名前を呼ばれたと思ったら抱き締められたまま寝ころんでしまった

「え、慈郎君!?」

「んー…。俺はねぇ。名前を痴漢とかいるかもしれないところに行かせたくないの。」
「?うん」
「こうやって、名前の温もり感じながら寝たいC〜」
「……っ」
不覚にも照れた
どこだ。どこで照れたんだ!


「ということで、寝よ!」
「えぇ…」

きらきらスマイルで言われたらもう勝てない


…でもまぁ


寝正月でもいいか慈郎君といられるなら


私は結局、慈郎君の胸の中で諦めた



「…ぁ、慈郎君、あけましておめでと、う…あれ」

挨拶をしてなかったと思って言うけど、慈郎君からは規則正しい息しか聞こえなかった


「…もー、寝るの早い…」


私は苦笑して、目を瞑るのだった



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