▼ 幸村 精市
私と幸村君は神社へ初詣に来ていた
バッチリ二分間お願いした
もう、そりゃ必死に
「ふふ、名前何をそんなに必死にお願いしてるんだい?」
帰り道、こうやって聞かれるぐらい
必死にお願いした
「秘密!言うと叶わなくなるし!」
「まぁ、そう言うね?」
「そうそう。だから、だめ。」
「神の子だから、セーフだと思うけど」
「………ぁ、そういうもんなの?」
「そういうもんなの」
ふふ、と幸村君が笑う
相変わらず綺麗だなぁ、と思う
「だから、ね?」
「えー。幸村君も言うなら。」
「それこそ駄目だよ。人に言っちゃ駄目なんだよ」
「え。」
それって、何気に馬鹿にしてないか
「でもいいの。ほら、神の子の彼女だし!」
反抗してやった
「…んー、じゃぁいいよ。神に選ばれし子が神の子の愛しい人にってことで」
「言ってることよく分かんないけど…。教えてくれるならいっか。あのね、今年も、健康でいられますように。でしょ?冬休み明けのテストが80点以上、でしょ?あとはー…」
「え、まだあるの」
「うん。あとはねぇ」
苦笑しているけど、仕方ないじゃないか
たくさんあるんだから。
一応、願い事多いかったから、毎年10円だったけど50円いれたもん
「冷蔵庫の下に入ってしまった本が今日こそ出せますように、消しゴムを誰か買ってきてくれますように、」
「自分でいきなよというか、本が冷蔵庫の下に入るとかどうしたの」
「買いに行くの、面倒なの。あー、うん。事故った」
「どんな事故だ」
「あはは…」
私は苦笑した
面目ない…
「それでね?最後のお願いは…」
「ぁ、まだあるんだ」
「あるのだ。まぁ、これを一番願ったかな」
「え、なになに?」
「幸村君と今年も楽しくやっていけますように」
「名前…」
「ふへへ」
「俺も、同じこと、お願いしたよ」
「一緒だね、幸村君」
「ふふ、うん。流石、俺ら」
「うん、だね?」
今年も、よろしくね
prev / next