/新年企画\ | ナノ


▼ 西と東のルーキー

「…寒い…」
私は手を擦り合わせて口元に手をやった
只今2013.12.31大晦日と呼ばれる日である

「名前大丈夫か?」
隣を歩く金ちゃんが声をかけてきた

「ん、大丈夫。気にしないで」
そう笑うと、眉を下げてすまなそうに言ってきた

「すまんなぁ、わいが突然こしまえにあいたいっちゅーたから…」
「いいよいいよ。私も久しぶりに越前君に会いたかったわけだからさ」
「そうかー?」
「うん!」

眉を下げている金ちゃんに笑ってみせる
するとにっと笑った

「名前はいつも優しいなぁ」
「そうかな?」
「せやで!」
こくこくと頷く金ちゃんが可愛いなぁ、と思っていると目的地に着いた
そこには小さな人影がある

「あんたら、遅い」
「こしまええええ!!」
「うるさい。近所迷惑」
越前リョーマ君である
彼もまた、金ちゃんと同じ一年

「ふふ、相変わらずだね」
「ぁ。」
「久しぶり、越前君」
「どもッス…」

少し目を泳がせて帽子を深く被った
私はそれを見てふふ、と笑う

「なんすか」
それが気に入らなかったらしく、ぶっきらぼうに言ってくる
「ううん。なんにも?」
そういうと、諦めたのか、あっそ、なんて言って視線を逸らしてしまった
うちの後輩の財前と同じだなぁ、とか思ってまた笑ってしまった
越前君に軽く睨まれたけど気にしないでおこう

「こしまえ!」
「何」
「試合しようや!!」
「「え」」

金ちゃんの言葉に越前君と声が重なる
待って待って、金ちゃんがここに来たのは、二年参りをするためじゃ…
私は金ちゃんをみる
にひひ、と笑う金ちゃんを見ていると自分は馬鹿だな、と思った

「それだけなはず、ないよねぇ…」
「?名前、何か言ったか?」
「なにもーっ」
「そうか?」
う、うん、とどもりつつ、頷く

「仕方ないな…」
すると越前君がため息をつく
「一試合だけね」
そう言い、後ろに背負っていたバッグからラケットを取り出した
「よっしゃぁぁぁ!!試合やぁぁ!!」
金ちゃんも袋から出して叫ぶ


……なんだ、越前君もなんだかんだでそのつもりだったんじゃない
ズンズンと歩き出す二人の背中を見てはぁ、とため息をつく
白い息がふわりと広がる

「何してるんすか、名前先輩。行きますよ。コート」
「はよ、きぃやー!審判頼むでぇ!」

「はいはーい」

私は頬と鼻先を赤く染めた二人へと走った



どうやら、今日は二年参りに行けそうもないかも




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