小説 四天宝寺 長編 | ナノ


▼ もしかして…?

【眠い…ですなぁ】

[はよ寝ろ]

【え、やだ】

[アホか]

夜、午前1時を回った頃、Twitterで彼女が呟いた

名前Pそれが彼女のサイトの名前
ニヤニヤ動画で神曲をあげるPだ

俺は先輩達と同じ高校に入り
高校2年の今ボカロで曲を作っている

カチカチとケータイのボタンを押す音が部屋に響く

【これから曲作りじゃい(*´∀`)】

[新曲?]

【そう!CD発売に合わせて、作ろうかと思って】

[楽しみだわ]

【へへ、せやろ?ぜんざいPの曲も楽しみにしてるよ!あー、いい加減曲作り集中するね、おやすみ(-_-)zzz】

[ん、おやすみ]



パタンと閉じるケータイ

さっきちょっと説明したけど、きちんと説明しておく


ぜんざいP
俺のネットでの名前だ
名前Pに憧れてる
ジャンル問わず生み出される曲は本当に神ででも優しくて好きだ

俺のも、そこそこ評価されてきているがまだまだだと思う
名前P曰く、テンポがいい、ギターの使い方が素敵、とのこと

でも、名前Pは楽器を自分で演奏シているから凄い

とまぁ、ストーカー並に好き
彼女とはいつの間にか仲良くなっていた


「…寝よ」

そういえば、今日も朝練あるんやったな、なんて考えながら布団に潜り込んだ




ーーーーー……
 
ふぁぁ…

「「あ」」

授業中二つ分の欠伸

「ふふ、財前君も寝不足?」

「まぁ、な」

俺と同時に欠伸をしたのは隣の席の姓名
この間の席替えで隣になって仲良くなった

「寝不足はいけないんだぞー」
「あんたもやろ」
「えへへちょっと、ね」

姓が控えめに笑う

「とても面白い人がいてね?その人と話してたら、寝不足。話し終えてから色々やってたら朝の4時で…」

「それ、あかんやろ、まぁ、俺もそんな感じやけど。ネットで面白い人…というか憧れる人がおってな」

そう言うと姓は
本当だ同じだね、なんて笑った

「せやな」

そう返して、お互い授業に集中した


ーーーーーーーーーーーーーー…


「あかん、課題忘れてもうた」

放課後部活も終わって帰ろうとしたら、課題が入ってなかった
慌てて今教室に向かっている

「…あれ」

教室の電気がついている
外は少し暗い
こんな遅くまで、誰がいるんだ


「迷ったって、探したって何もないと嘆くけど」

なんや、詩か?

「いつまでもこのままじゃいられない」


ガラッ


「!?!?」


俺がドアをあけると、姓はビクッと肩を震わせた
ヘッドフォンをしているから、音楽でも聴いていたのだろうか


「なにしとるん?」

俺が聞くと慌てた様子で、手を振った

「何でもないよ!?その、音楽聞いてて!」

「へぇ?…ちょい貸して」

そう言って俺はヘッドフォンを姓からとる

そして耳に付けた


「あぁ!!!ちょ、……まぁ、財前君は、そういうの聴かないと思うし、いっか…」


なんかぶつぶつ言っとる姓を無視して流れる曲を聴く


「迷ったって探したって何もないと嘆くけどそれは本当?嘘?君の声を聞きたくて
このままじゃいられない
ほら空に向かって叫ぶんだ夢を希望を
君の声と合わせて響かせて」

少しアップテンポででもしっかりとした歌

…なんや、名前Pの曲の作り方に似とる…
そう、思う

「なぁ、これ…」

キーンコーン……

もしかして、と聞こうとしたら、チャイムが鳴った

「あ、帰らないと」

いそいそと俺からヘッドフォンを受け取り帰りの用意をしてしまう


そして、「これ、やってたの、内緒ね!また明日!バイバイ!」

と、いそいそと出て行ってしまった


……あれは一体…

もしかして彼女は……?






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