小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ 喧嘩

「千歳のあほ」

「…なんね」

「だからあほ」

「な、何で?」

「…ケーキ、食べたでしょ」

「……そげんこと…」

「あるくせに」

「ごめん」

「許さん」

「貴子…っ、待…っ」

「うわぁぁぁぁ!!千歳のばかぁぁぁ!!」


静かなる険悪な雰囲気は私の叫び声と足音でどこかへ去った

私はリビングを飛び出して、部屋に向かった

誰が許すものか
人のケーキを食べおって!!

家に帰ったらなんか千歳がいるし、しかも楽しみにとっておいたケーキ食べられるし

あれ、凄い貴重だったのに
物凄く貴重だったのに

ジャガイモから出来たケーキだよ?
中々ないお土産だよ?
あぁぁぁ、食べたかった!!
もうヤダ…


私はとりあえずダンダン!!!と、床に足踏みをした
女とか思えない。自分の頭の中で過ぎていった言葉
ええい、構うものか


「…ジャガイモケーキ……」

私はいざ言葉にしてみるとなんともワイルドな言葉を発した

「千歳の馬鹿…」

と、呟いたところでドアがノックされた

「貴子?」

「何」

私の背のドアの向こうで聞こえる声に私はぶっきらぼうに答えた

「本当に悪か思っとる!!!ごめん!」

「……」

「なぁ、貴子?本当に悪かったばい!!」

「……馬鹿」

私はそう呟いてドアを開けた

「貴子…」

そこには本当にバツが悪そうな顔をして手を合わせている千歳がいた

「許してあげる」

もう、いい。仕方ない
食べちゃったし、またお土産で買ってきてもらえばいい
場合によればネットであれば買えばいい

「こっちこそ、ごめん、言い過ぎた」

「そげな事ない…俺が悪いと…」

眉をひそめて私を見る

「…じゃぁ、今度一緒に出掛けて、ケーキ奢って。」

「そんなんでよかと?」

「いいの」

「わかったばい…」

納得させたところで、私は改めて部屋に入れた


「相変わらず貴子の部屋は綺麗やね〜」

「えー、そうかな?」

「一昨日のまま、綺麗とよ、いや一昨日より綺麗になっとーよ」

私はピクリと眉をひそめた


「……千歳?」

「なんね?…ぁ」

「一昨日、部屋に入った?」

「…いんや?」

「そう?」

「そう」

私はふっと、口を緩めた


「そういえばさ」

「?」

「クリームプリンおいしいよね、」

「あぁ、うまか。一昨日冷蔵庫にあったのを食べたんやけ、ど………ぁ、しまっ…t」



再噴火。


「ケーキ+アラモードプリンね!!」

「え」

「文句でも?」

「無いです」

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