小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ いつものメンバーは

「ねぇ」

「おん」

私は隣で教科書を見る彼に声をかけた
優しく返す彼ー…蔵。

私はノートにペンを走らせたまま言う


「私ね、」


四天高行かない、
   


時が止まった気がした 
自分で言ったくせに、心臓が激しく脈打つ



「そうか」

「うん」


私はこくりと頷く

「どこに行くん?」

「清華」

私はポツリ、と言う

「あぁ、音楽科のある…自分の夢、進むんか」

「うん。進むことにした。」

「そか」

蔵は静かに頷いた

「蔵は?」

「…四天高」

「だよね。他の皆も?」

「おん。皆同じ」

「そっか」

私は、シャッと、蛍光ペンをひく


「…じゃぁ、いつもの皆でそのままだね」

そう言う
次の返事はわかりきっていた
せやな
って

「…いや」

「ぇ?」

思いもしなかった返事で動揺する


「どうして?」

「…皆同じやない」


貴子がおらへん、


私は、きゅ、と静かに唇を結んだ


「そう、だったね」


いつものメンバーは、
あと1ヶ月

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -