小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ 家出します

「兄貴のあほーっっ」

「は“ぁ!?おまえ、そんな口きいてると締めんぞ!?ウエスト!!ふってーなぁ!」

「う“わぁぁぁあ。兄貴何て嫌いっ」

「俺もだわ、どアホ」

「滅びよ」

「お前がな」



カタン、
「……うっさい」

俺は、軽い舌打ちをペンを置くと共に華麗にかました


毎度のことながら、隣の住人の幼なじみとその兄貴の喧嘩がうるさい

はっきり言おう。近所迷惑やねん
突っ込みたい


すると、ドドドッ!と階段を駆け上がる音が隣からしてくる…

これは…

「くるんやろな…」

俺は、盛大にため息をして、頬杖をついて、窓の方を見る
といっても、カーテンがしまっているので、ただの、水色だが


すると、コツン、コツン、と音がした


「今日は早いんやな…」

俺は、いすから立ち上がり、カーテンをあけた

すると、孫の手で窓を叩いていた
手が届くんやから、手でやれや
真面目に文句が言いたい


「なん、」

「泊めて」

「嫌や」

「嫌」

「おん、じゃぁ」

「待って待って!?」

俺が窓を閉じようとするとガッと、孫の手を挟んできた

孫の手の使い方間違っとるやん、


「なん」

「家出する」

「さいですか」

「いやいや…」

「…なん」

「お願いします。泊めて」


「………」


俺は押し黙った
毎度毎度、コイツは、兄貴と喧嘩すると、俺の部屋に家出してくる
一晩だけ
それで、愚痴散々吐いてまた朝自分の部屋に帰る
貴子によれば、兄貴と同じ家で寝るとか論外
だそうだ

あほちゃうか

「た、頼む…」

まぁ、でも…

「ま、しゃーないっすわ」


結局折れるのが俺なんやけどな



「うおっしゃぁぁ!!」


そういうなり、貴子はパジャマと、下着、櫛、孫の手をポイポイお構いなしに投げ入れてきた

「…」

「よーし、家出開始」

「あほちゃうか…」



今日もまた、貴子のしょうもない愚痴に付き合わされるらしい









(結局、何で喧嘩したん)(お兄ちゃんが私の服作るって言い出して、ウエストとかはかってたら、馬鹿にしてきた)
(……(しょうもない…))


prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -