小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ 二週間前とコンビニ

”あ、ついでだから棄てるよ“

”おおきに“

”うん“
 

「あ。 」


一週間前にこんな事があったと、ゴミ焼却炉にゴミを入れながら思い出す


確かその人は五輪の色のピアスをつけていてサラッと揺れる黒髪が綺麗な人だった

「また、会えないかな」

私はちょっと期待して次の週またゴミ当番をかって出て来てみた

けど……

「何度もありえないよねぇ」

どんなに待っても来なかった
最終的に

「ぁ、新井!!なにしてんねん!早くゴミ箱持って来いや!」

なんて、男子に頭ぺいっと叩かれた
痛かった。ばかやろう。


で、なんとなくコンビニに向かう
「いらっしゃいませー」
なんて、特大笑顔付きで迎えられて
“極上白玉ぜんざい”の文字があったから手を伸ばす
あと、一つしかないや。買っとこ
なんて、思ったら

「「ぁ」」


手が重なった

それも…


「オリンピックさん…」

「どんな凄い人やねん」

あの人だった
二週間ぶりに会った
私が固まっていると


「半分にしよか」

なんて言ってレジに行ってしまった


ぇ、奢ってくれるんだ

二人でコンビニを出て、スプーンを渡してくれた

「ありがと、」

「おん」

とりあえず二人で交互に食べていった
あきらか、私の方が多く食べるように仕向けられてたけど、言わなかった
さりげなさを無駄にしたくなかったから

食べ終えて、カコン、とゴミ箱に殻になったカップを捨てる


「行くか?」

「ぇ、どこに…」


「家に帰るんやろ?」

私の家の方向へ歩き出す


「あ、うん。でも…家…」

「こっちの道、やろ?」

「ぇっ、うん…でも何で知って…?」

私は首を傾げた

「送ってくわ」

「え、悪いよ!」

「置いてくで?」

「え、ちょ、それは駄目!待って!」

私は慌てて追いかけた




この日が、私と彼が付き合うきっかけになったことは内緒

だって、オリンピックさんって呼んだなんて、恥ずかしいでしょ?


「俺の名前、財前光やで、オリンピックさんってなんやねん、全く…」

「いや…ピアスが…」

「は?」

「すみません」


━二週間とコンビニ━

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