小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ 花束と告白

「あれ、ユウジ」

帰り道。お花屋さんで花を前にしてウロウロしているユウジを見つけた


「!?貴子…。な、何してるん?」

盛大にビクついてユウジが聞いてきた

「ぇ、”何してるん?“って…この道、ユウジと一緒で帰り道なんだけど…」

私が少し首を傾げて言うと「お、おう、せやったな…」なんて言う
変なユウジ

「小春ちゃんに花を選んでるの?」

私はふと言った。

すると「え?」みたいな顔をして「あぁ、まぁ、な…」と顔をそらした
あれ、違うの?
少し顔が赤いユウジ
…まさか…

ぼんっと音がしそうなくらい一気に顔が赤くなった
…ぇ、当たりなの?
一瞬、心が痛かった

「…そっかあ、じゃぁ…私が花選んであげるよ、ユウジ、こういうの苦手でしょ?」
モヤモヤとした胸の中を隠すように私は言った

すると、「…ぇ、あ、あぁ、まぁ、せや、な…」
とかちょっと悩んで返事をした


ーーー…


「よし、これでいいと思う!」
 
私はバラを選んだ。シンプルに一本だけ
え?一本?とか思うけど一本の方がじっくり見られるから想いが伝わりやすいと思う

「…おおきに、貴子」
そう、少し戸惑いながら言うユウジ
無理矢理選んだから怒ってるのかな

私達は少し暗くなってきた道を歩く

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