小説 四天宝寺 短編 | ナノ


▼ 好きだということ

カタン、そんな音がして
そしてキスのあの独特の漏れる声が聞こえて


「えーー…?」


夕焼けで赤く染まる教室のドアの向こう側

私の彼は知らない人とキスをしていた

離れる唇
赤く染まる光と女の子の頬


”あぁ、捨てられたのかな“
そう思ったとき


ボス…ッ

「あ、しま…っ!」

私は物語にありがちな感じで鞄を落としてしまった


ドア越しに合う光と女の子の目

光は目を見開き、女の子はしまった、という顔をする

いいよ、いいよ、そっか、その女の子が好きになったんだね

私は反射的に走り出した


「貴子!!」

呼ばれる名前

やだやだ、止めて。
来ないで
聞きたくない…っ

私は馬鹿なのだろうか、屋上にきてしまった。

付き合い始めて私は光にきすされたのは、3回
あとは、たまに手を繋いでくれるだけ
考えればそうだ
私、飽きられてた…?

「はぁ、はぁ…」

私は端まで行き、膝に手をつき息を整える

バタンッ!


「貴子!!」

光が来た

「こ、こないで!」

そう走ったが、手を捕まれた


「まちぃっ!」

「…っ」

二人で立ち止まる
二人分の荒い息
涙がでた

「ごめん、あの人のこと好きなんだよね、気づかなくてごめんね?キスとか、全くしなかったのはそのせいだよね?ごめんね…っ」

そう言うと、光が、は?と言った

「貴子、何ゆうてるん?」

怒りを含んだ声になった光

無理矢理光の方へ向かされたと思ったらキスをしてきた

「んっ!!ふぁ、ん…っ」

一回で終わることなく、角度を変えて何度も、何度も、
私の手を掴んでいた手は、私の頬に添えられていた

「ひかっる…っ」

少しあいた隙間で声を出す

「黙っとれ」

そんな言葉で塞がれる


「ちょ、ん、んん…っ!!」


息がもう限界だというところでやっと離してくれる
濡れる唇を光は親指で拭い、私の唇をなぞった

「ひか、る…」

そろそろと言うと光は口を開いた

「なにゆうてるん、やっぱアホなん?」

「な…っ!?…ん、ふ…っ」

私がカッとなりかけるとまた唇を重ねてきた

「黙って聞いとけや。」

そう言われたら、黙るしかない


「キスしなかったのは、貴子を大切にしたかったから。手を繋がなかったのは…俺が照れた、から…」

そう言うと、顔を逸らした

「え…っ。だって今、顔赤くしてた…」

「夕焼けとちゃうか、アホ」

「あ…」

確かに女の子みたいな赤さじゃなかった


「やっと気づいたんか、あんな、いっとくけど、貴子以外の女なんていらんわ」



「……勘違いしてごめんなさい…」


そう言うと、今度は優しいキスが降りてきた





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ただ、激しいキスをさせたかっただけっていう…←
角度を変えて何度もしてきた
っていう表現を書きたかった←
本当、すみませんでした…

読んでくださり、ありがとうございました





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