「雅治君!」
「仁王君!」
「誕生日、おめでとう!」
そう、女子たちに言われる
「ありがとう。」
「これ、プレゼント!」
「あ!私も!」
そう、次々とプレゼントを貰う
「ありがとう」
彼は、とてもモテる
だからたくさんプレゼントを貰っている
「……」
私はたくさん貰っている仁王君を見て手に持っていたプレゼントをそっと、後ろに隠した
(…、後でいいかな…)
私はそう、Uターンしてしまった
だって、女の子達に笑いかける彼を見たくなかったから
自分の教室に入り、私は机に突っ伏した
プレゼントは机に突っ込んだ
ちなみに中身はクッキーである
「はぁ……」
「?佳那、どうしたの」
貴子が声をかけてきた
「渡さなかった…」
「…あぁ、もしかして、囲まれてた?」
「うん…」
「女の子達をかき分けて行けばいいのに。彼女なんだし」
ごもっともだ
しかし…
「あの中に行くのはちょっと寿命が…」
「縮まらないよ、いきなさい」
貴子はスパッと言って、クラスメイトに呼ばれてどこかへ行ってしまった
「うー…放課後、かなぁ。」
私は静かに呟いた
ーーーー……
「は、」
あぁ、もう今日は諦めようか
そんな気さえしてきた
「仁王君!」
「仁王君!」
放課後になっても尚囲まれているのか
流石ですな。よっ。色男。
いや、じゃなくて
本当、どうしよ
普通は、彼女がはじめに渡すもんなんだろうなあ
とか考えてたら虚しくなってきた
「…うーん…もう、しーらない」
私は、半分ヤケクソで回れ右をしてやった
けど
「佳那」
「う、え!?」
いきなり声をかけられて変な声を出してしまった
色気がなさすぎる…
これだから、幸村君にからかわれるのかなあ
なんて考えつつ振り返る
まぁ、振り返らなくてもその声の持ち主ぐらいわかる
「雅治…」
「どこに行くんよ」
「…帰る」
「お前さんは、今日なんの日か覚えとるんか」
「当然」
私は頷く
すると、雅治は少し不機嫌そうに言った
「なら、一番に欲しかったぜよ」
「ごめん、」
「罰として、今週の日曜日家デートじゃ。ええな」
「えー。その日は、貴子と…「ええよな?」はい」
私は頷くしかなかった
「よろしい。さて、帰るかの」
「え?あの人達からプレゼント貰わなくていいの?」
「やぎゅにでも頼むぜよ」
「えぇ…」
柳生君、可哀想じゃないか…
あれじゃ、1時間ぐらいは、かかるよ、全員から貰うまで…
私はこちらをちらちら見る集団に目をやる
あ…なんか、頑張れって口パクしてくれてる
…やっぱりいい人ばかりだ。
彼女なのに、自分の好きな人の。
頑張れって…
私は、うん、と小さく返して雅治に言った
「帰る前に、はい。これ。誕生日おめでとう」
雅治は微笑んでその袋を受け取った
HappyBirthday
20131204