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▽インテリアコーディネーター


僕には何となく、部屋に飾ってしまうものがある。
これは何かと問うた友人に正直に言えば、引きつった顔とともに侮蔑の視線を投げられた。

不愉快極まりなかったあの日を思い出し、それをごとりと置いて僕は微笑んだ。みな理解してくれないけれど、構やしない。

どこかのひきこもりが飾るやけにリアルなフィギュアより、ずっと品があるし芸術的だ。美しさを理解できないことほど不幸なことはきっとないだろう。

あの断末魔を頭で繰り返し、くすりと笑みが洩れる。あれは今も忘れられない。
僕は壁に掛けられたそれを手に取り、そっと撫でた。

「死は生より美しい…か」

誰かの偉そうな御託が、そのときだけはわかった気がした。ホルマリン臭い腕を拾い上げ、僕はそれに口付けた。



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